小胞体におけるタンパク質選別とBiPによるクォリティコントロール
Project/Area Number |
06261210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 明彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (90142140)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | タンパク質の分泌 / 小胞体(ER) / BiP体 / 小胞のリサイクリング / クォリティコントロール / 酵母(S.cerevisiae) / RER2 / Sec12p |
Research Abstract |
われわれは,小胞体の膜タンパク質であるSec12pが小胞体-ゴルジ体間でリサイクルしていることに注目し,この小胞輸送のダイナミクスに異常をきたした酵母の変異株rer1,rer2を分離してきた.このうちrer2変異株は,Sec12pの動態異常に加えて,増殖の温度感受性およびBiPの過剰発現と分泌というきわめて興味深い表現型を示した.rer2変異の相補を利用して酵母のゲノムDNAライブラリーより野生型の遺伝子のクローニングを試みた結果,RER2遺伝子そのものと多コピー抑圧遺伝子(SRT1と命名)が分離された.RER2とSRT1は,それぞれ286および319個のアミノ酸残基からなる親水性タンパク質をコードし,両者の間で31%が同一であった.rer2破壊株はやはり温度感受性の増殖を示したが,srt1破壊株は正常に増殖できた.また両者の2重変異株は致死であった.これらのことから,RER2とSRT1は同様の機能を持った重複遺伝子ではないかと思われる.一方,本研究の過程で,Sec12pの過剰生産がBiPの局在を著しく変化させることを見いだした.この現象は,sec変異株などを用いても観察され,小胞体-ゴルジ体間輸送を阻害したときに一般的に起こる現象であることが判明した.間接蛍光抗体法および免疫電顕法によって,BiPは小胞体からゴルジ体への輸送の阻害により,小胞体内腔の特定の場所に高濃度で蓄積し,電子密度の高い構造体を形成することを証明した.この構造体にはゴルジ体へ輸送されるcargoタンパク質も同時に蓄積しており,小胞体から輸送小胞にパッケージされる直前の,選別のコンパートメントである可能性がある.本構造体を“BiP体"と呼ぶことを提唱した.
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Report
(1 results)
Research Products
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