大腸菌の光感受性変位株を用いた活性酸素ストレス応答機構の研究
Project/Area Number |
06261220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井口 八郎 京都大学, 理学部, 助教授 (20028195)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | ストレス応答 / 活性酸素 / プロトポルフィリンIX / hemH遺伝子 / 鞭毛運動 / 光感受性 / 大腸菌 / swimmingとtumbling |
Research Abstract |
大腸菌で光感受性のミュータントを見い出し、このミュータントがなぜ光感受性になるのかを調べてきた。そのうちのhemH遺伝子に変異を持つ株ではヘム前駆体のプロトポルフィリンIXが細胞内に蓄積していること、変異体は光(青色光)の照射で生育が抑えられるのではなく死んでしまうこと、この光照射による細胞死には酸素が関与していることなどの実験事実から、現在そのメカニズムを次のように考えている。すなわち、hemHが欠損するとヘム前駆体のプロトポルフィリンIXが大量に細胞内に蓄積する。プロトポルフィリンIXは光感剤であることが知られているが、このヘム前駆体に光が当ると多量の活性酸素が生成し、これが細胞に致命傷を与えると推察致している。このミュータントから光に対して非感受性になったミュータント(復帰変異株)を分離し解析することにより、ヘム前駆体のプロトポルフィリンIXから生成する活性酸素、特に一重項酸素に対する細胞の防御機構を遺伝子レベルから解明を試みた。 このミュータントで、こうした研究の他に本研究計画年度内におもしろいことが一つ明らかになった。それはこのミュータントにわずかな光(killingが起こらない)を与えると、このバクテリアの動きがおかしくなるということである。通常バクテリアは "swimming", "tumbling"を繰り返して動き回っているが、ミュータントに光を当てるとそのときだけ "tumbling"しか観察出来ない。そしてこの現象はヘム前駆体のプロトポルフィリンIXによって引き起こされることが分かった。おそらく活性酸素がバクテリアの鞭毛運動の "tumbling"シグナル系に働いて、この現象がおきるものと考えられる。バクテリアのこの系は遺伝学的に、また生化学的に非常によく研究されているので、 "tumbling"に対するこの活性酸素のターゲットタンパク質の同定や作用機構について、研究が進展するものと期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)