核に局在するsmallG蛋白系による細胞増殖調節機構の解析
Project/Area Number |
06262213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 雅一 京都大学, 医学部, 助手 (40211479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 長博 京都大学, 医学部, 教授 (40137716)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | Ran GAP / 核内蛋白 / 有糸分裂破綻 / 細胞周期進行阻害 |
Research Abstract |
リンパ球の増殖制御機構を解析する目的で、IL2により可逆的増殖反応を示すリンパ球株を用い、その休止期(G0)と増殖サイクル期でのdifferential hybridizationにより、後者に選択的に発現されるcDNA(Spa-1)をクローニングした。Spa-1cDNAは、3.518bpより成り、同mRNAは静止期リンパ球には殆ど発現されないが、増殖刺激によって細胞周期に入るとそのS期に対応して発現誘導されてくる。Spa-1cDNAは693個のアミノ酸をコードしうるORFを有し、そのN末部(190アミノ酸:SpanN)は、ヒトRap1GAPと高い相同性を示した。Spa-1融合蛋白に対するモノクローナル抗体を作製して解析した結果、Spa-1は、68kDaの蛋白で専ら核内に存在することが判明した。さらに、GST-SpanNを用いてGAP活性を検討した結果、Rap1/Rsr1とRanに対する選択的GAP活性を示し、Ras,Rhoに対しては無効果であった。現在核内に局在することが知られている唯一の低分子G蛋白はRanであり、Spa-1が核内蛋白であることと合わせ、細胞内でRanGAPとして機能しうる蛋白であることが強く示唆された。Ranは同じく核内蛋白であるRCC-1と強く会合し、細胞周期の進行に必須の機能を果たしていることが明かとなっている。従って、RanGAP活性が、認められたSpa-1についても、Ran/RCC-1系との相互作用による細胞周期調節への関与が考えられる。この点を検討するために、NIH/3T3にSpa-1cDNA導入したstable transtectant(NH/Spa-1)を作製した。NIH/Spa-1は、5%血清加通常培地中では正常な増殖を示したが、一旦confluentになると急速に死滅する傾向を示した。さらに、血清飢餓状態でG1期に一旦停止させた後に、20%血清を加え同調的に細胞周期に入れると、正常のNIH/3T3はS期-G2/M期へと進行するのに比し、NIH/Spa-1はS期途中で急速な細胞死を示した。形態学的にこれは、いわゆるmitotic catastrophes(分裂破綻)のそれに酷似していた。この結果は、Spa-1の異常発現によって確かに細胞周期の異常がもたらされることを示している。以上の結果から、Spa-1は核内GAPとして、Ran/RCC-1系に相互作用することにより、細胞周期調節に関与している可能性が強く示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)