胸腺内T細胞分化における新しいチロシンキナーゼの構造と機能
Project/Area Number |
06265232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
広川 勝いく 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00014093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 幸子 東京医科歯科大学, 医学部, 技官
北川 昌伸 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10177834)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 胸腺 / T細胞 / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
ZAP-70とJAK3の2つのチロシンキナーゼについて、そのcDNAのクローニングに成功したが、それらについては一歩遅れて、発表に至らなかった。しかし、それをプローブとして、ノザーン解析とin situハイブリダイゼーション解析を行い、新しい知見を得ることができた。それらは(1)ZAP-70とJAK3共に胸腺内の発現パターンが新生仔期とアダルトで異なる事。(2)ZAP-70は脳の神経細胞にも明瞭に発現する事。(3)ZAP-70は胎仔臓器の上皮細胞にも発現する事。(4)JAK3がIL-7シグナル伝達経路で重要な役割を果たす事。(5)JAKファミリーのチロシンキナーゼはリンパ球だけでなく、胸腺上皮細胞にも発現する事。(6)数種類の受容体型のチロシンキナーゼが胸腺上皮細胞に発現し、その発現パターンが皮質と髄質で異なる事、などである。 これらの結果は、ZAP-70とJAK3が胸腺の器官形成に重要な役割を果たす事を示している。この事はヒトの先天的免疫不全の症例ではZAP-70遺伝子の欠損があるものもあるという報告からも示唆されている。何れにしても、その役割を更に明瞭にするためには、それらの機能が欠損したモデル動物を作製する必要があろう。ZAP-70はリンパ球ばかりでなく、脳や胎仔期の臓器にも発現し、それらの器官発生や機能においても重要な役割を果たしているらしい。事実、我々はZAP-70とカイネースドメインは同じだが、3'側に大きなインサートが入り、大きさの異なるZAP-70Lを拾いあげている。即ち、選択的スプライシングにより出来たZAP-70のファミリーがあることが示唆されている。胸腺内におけるT細胞の増殖分化においては、IL-7は重要なサイトカインの一つである。そのIL-7のシグナル伝達でJAK3が重要な役割を果たしていることが今回明らかになった。胸腺上皮細胞におけるJAKファミリーの存在はIFNなどの受容体に付随し、そのシグナル伝達に役割を果たしているものと考えられる。更に興味ある事は、複数の受容体型チロシンキナーゼが胸腺上皮細胞に発現し、そのmRNAの発現が皮質と髄質で異なる事である。対応するリガンドについてみると、FGFやHGFが胸腺の器官形成に重要な役割を果たしている事が強く示唆され、今後、in vivo或いはin vitroで、それらの働きを検討する必要のあることが分かった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)