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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
アミノ酸点変異(AαSer-434→Asn)によってAsn-X-Thr型糖付加配列が生じた結果,変異Asn残基に2分岐アンテナ様糖鎖が付加されているFibrinogen(Fbg)CaracasIIでは,フィブリン(fibrin,Fbn)のゲル化反応が著しく遅延する(J.Biol.Chem.266:11575-11581,1991).本研究では,この余剰糖鎖を指標として,Fbgのゲル化反応を分析した。Fbnのゲル化は大きく2つに分けられる.すなわち,(a)Fbn・モノマーが互いに半分子長ずつずれて結合し,2本鎖のprotofibrilを形成したあと,(b)これらが側々結合して太いFbn束を形成してゲル化する.Fbg CaracasIIでは,反応(a)は正常と考えられ,主として,反応(b)の障害がFbnのゲル化を遅延させているものと推定される.すなわち,plasminogen activator(PA)によるplasminogen(Plg)の活性化は反応(a)によって著しく促進されることが知られているが,本異常分子ではFbnゲルの形成不全にも拘わらずPlg→plasmin反応は正常に進行した.面白いことに,本異常分子の余剰糖鎖のもつシアル酸の陰性荷電により,反応(a)で形成される2本鎖protofibril間に反撥力が生じ,これらが互いに側々結合してFbn束を形成する反応(b)を阻害していることが判明した.本研究助成により研究を進めた結果,このような生化学的な分析結果を電顕学的にも確認することが出来た.すなわち,Fbn束の形成は不整で,正常Fbn束で認められる550A^^・幅の規則的な縞模様は,本異常分子でのFbn束では必ずしも鮮明ではなく,また正常のFbnでは認められない,Fbn束の切離現象が高頻度に発生していた.このとき,断端ではFbn束は先細りし(tapering),しかもprotofibril間の結合が弱いために,さばきの筆状にprotofibrilsが並行している像が得られた.
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