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¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
1.種々のプテリン化合物(PTs)存在下における近紫外線(NUV)誘発DNA損傷の分子機構を検討し,以下の結果を得た。 (1)NUVはプテリン(P),6-カルボキシプテリン(C),ビオプテリン(B),ネオプテリン(N)および葉酸(F)の存在下で線量依存的に二本鎖DNAを切断した(損傷作用:P【approximately equal】C>B【approximately equal】N>>F)。一方,キサントプテリンとイソキサントプテリンの存在下ではDNAは損傷をされなかった。PTs存在下における光増感DNA損傷には一重項酸素の (2)PTsとNUVによる二本鎖DNA損傷では5′-GG-3′の5′側のG(グアニン)が極めて特異的に損傷され、単独のGは損傷されなかった。 (3)PTs存在下NUV照射によりcalf thymusDNA中で8-オキソグアニン(8-oxoG)量が著しく増加した。8-oxoG生成にも一重項酸素の関与はみられなかった。また検討した反応条件下で8-oxoG生成はGの全損傷の30%以上を占めることから,PTSとNUVにより5′-GG-3′の5′側のGで8-oxoGが生成すると推定された。 (4)光励起PTsとGとの反応性をESR法で検討し、この反応性の強さとDNA損傷作用の強さはほぼ一致することがわかった。以上の結果より,励起プテリン分子はDNA塩基の中でもっとも酸化されやすいGと電子移動を伴って直接に反応し,8-oxoG等のG損傷をもたらすと考えられる。この電子移動反応を介した塩基配列特異的8-oxoG生成はリボフラビンやキノン化合物存在下でのNUV照射の場合にも認められ,NUVを吸収する電子受容性分子に共通した機構であることが示唆さた。 2.NADH存在下ではNUV照射によりO_2^-が生成し,Cu(II)の共存下でDNAが強く損傷されることが判明した。15EA07:これまで紫外線発がんに重要なDNA損傷として,DNA塩基が紫外線で直接に励起されて生成するピリミジン光産物が注目されてきたが,我々の研究結果は内在性分子を介する光増感反応でDNAが損傷される機構も発がんに関与する可能性を強く示唆する。今後,ヒト皮膚細胞を用いて内在する光増感分子の同定と定量を行ない,更に,NUV誘発DNA損傷産物の生成スペクトルを測定し,紫外線発がんにおける遺伝的,非遺伝的な危険因子の究明を目指す。
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