Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
砂ネズミの一過性全脳虚血後の海馬に特徴的に認められる遅発神経細胞壊死の進展様式を解析し,特定の蛋白については発現の高進が認められることを報告してきた(Neuroscience Letters,146,135-138,1992:Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism,14,565-573,1994).本検討では虚血再灌流により遅発神経細胞壊死領域のグリア細胞にADF/TRXが一過性に発現することおよびその時間経過を免疫組織化学的に明らかにした.また星状グリア細胞のマーカーであるGFAPとの二重標識によって発現細胞が星状グリア細胞であることを示した.さらに,Western blot法によってADF/TRXの発現量が非虚血脳に比べ遅発神経細胞壊死領域で増加していることを示し報告した(Brain Research,625,1-8,1993).以上の結果は遅発神経細胞壊死の進展にADF/TRXが何らかの修飾を与えること示唆することから,その影響をより直接的に検討する目的で以下の実験を行った.ヒト組み替えADF/TRXを砂ネズミの腹腔内に前投与し続いて全脳虚血負荷を行い,一定期間生存後の海馬CAI領域の1mm当たり錐体神経細胞数をパラフィン切片上で定量した。その結果,ADF/TRX投与群の残存神経細胞数は8.8+/-4.9(平均+/-SD)と溶媒投与群;11.2+/-6.5との間に有意差は無く、両群とも偽手術群;253+/-9.4に比べ著名に減少していた。今回の腹腔内投与実験ではADF/TRXの遅発神経細胞壊死に対する保護効果は認めなかったが、今後脳血液関門を有効に越えるよう脳室内投与による検討が必要と考えられた。
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