チトクロームC系蛋白ならびに宿主の遺残的な行動を指標にしたエキノコックスの起源
Project/Area Number |
06273202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 正男 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30081665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 宗裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70177096)
OOI Hong Kea 北海道大学, 獣医学部, 助手 (40223440)
奥 祐三郎 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (60133716)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 寄生虫 / 分子進化 / エキノコックス / チトクロームC / テニア科条虫 / 蠕虫 / 齧歯類 / 宿主転換 |
Research Abstract |
本年度は特に,エキノコックス Echinococcus multilocularisにみられる種内変異と近縁種・猫条虫Taenia taeniaefrmisの起源についてまとめた. 分離された地域・中間宿主の異なる猫条虫4分離継代株について、形態(鉤)、各種齧歯類への感染性、嚢虫の蛋白組成、DNAの制限酵素切断パターンについて比較検討した.さらに、野性の齧歯類およびネコより分離された個体を加え、DNAフィンガープリント、アイソザイムパターン、COI遺伝子の塩基配列を調べ、これら猫条虫の遺伝的関係を調べた。その結果、日本には少なくとも2つの性質の異なる猫条虫の個体群が存在し、そのうちの一つは世界的に住家性のネズミに寄生する猫条虫と生物学的にも遺伝学的にも近縁であることが明らかとなった。日本におけるこれらの起源は、遺伝的な類縁関係や過去の日本の交易の歴史から東南アジアであることが推察された.一方、北海道には、これらとは全く起源の異なるエゾヤチネズミを中間宿主とする別の猫条虫個体群が存在することを明らかにした. 多包条虫の場合、北海道では他の流行地ではみられないドブネズミを中間宿主とする生活環が成立している可能性示唆された.しかし、DNAフィンガープリントおよびCOI遺伝子の塩基配列のレベルでは、ドブネズミ寄生のものを含めて北海道内に流行している多包条虫は、遺伝的にきわめて均一な個体群であることが明らかとなった.さらに、セントローレンス島産の多包条虫との比較から、北海道で流行している多包条虫はアラスカからごく近年に北海道の一部に移入され、その個体群を起源として北海道全域に急速に広がったものであると推定された。以上、両種内に見られる種内変異の程度と日本における起源を明らかにした.
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)