Project/Area Number |
06273209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 薫 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (50136454)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / FMN / 還元酵素 / Bar / dpp / 肢 / ヘジホッグ |
Research Abstract |
hedgehogにより翅原基の前後部区画の境界で、patched,dppの強い発現が見られた。またその翅原基前部区画での異所発現により、異所発現近傍にpatched,dppのectopicな発現が誘発され、前部区画の位置情報が鏡像対称的に重複するが分かった。この事は、hedgehog,winglessによる2次元直交座標系が、成虫構造形成に必須の第3軸、遠近軸の形成を直接コントロールしていることを強く示唆している。hedgehogの下流ではホメオボックス遺伝子BarH1/BarH2が発現していた。BarH1/BarH2は初期肢原基で円環状に発現し、その欠失変異で肢の先端の3節が欠落した。このBar ringをマーカーにしwingless温度変異株を利用し、Bar ringが前後区画境界と背腹区画境界の交点近傍を中心として形成される事を明らかにした。ショウジョウバエの翅肢形成の分子機構は、脊椎動物の四肢形成基本構造であり、ハエの翅肢と脊椎動物の四肢という進化的に無関係なしかし形態的にはむしろ等価な形態系で、"保存"されている事は、極めて興味深い。BarH1/BarH2は、肢以外にの組織でも発現し共エンハンサーにより発現調節されている。BarH1・BarH2間80kbの断片を個体レベルのエンハンサー・アッセイ・ベクターに導入し、複数のトランスジェニックハエのラインをつくり共エンハンサーの位置を特定した。その結果、進化の過程ではエンハンサーが重複され異なる組織特異性が獲得されると推定できた。エンハンサーの重複は、結果としてそれに至るシグナル伝達系の重複化とも連動しているはずで、このようなダイナミックな遺伝子制御系の変化の研究は、遺伝子進化の新しい側面を切り開くものである。細菌のFMN還元酵素遺伝子群及びニトロ還元酵素遺伝子群を調べ、この2種類の酵素の中には、互いに同一の祖先遺伝子由来と推測されるペアが存在し、しかも異なるペアに属する酵素間には、全くアミノ酸レベルの相同性がないことを見つけた。このシステムは、冗長遺伝子の進化を考える上で興味深い。
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