受容体チロシンキナーゼによるシグナル伝達と細胞増殖・癌化における役割とその制御
Project/Area Number |
06281209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門脇 孝 東京大学, 医学部(病), 助手 (30185889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏑木 康志 東京大学, 医学部(病), 医員
為本 浩至 東京大学, 医学部(病), 医員
戸辺 一之 東京大学, 医学部(病), 助手 (30251242)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
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Keywords | シグナル伝達 / インスリン作用 / IRS-1 / PI3キナーゼ / ASH / Grb2 / ras / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
本研究では、細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼがいかにして細胞の増殖や癌化を引き起こすかという情報伝達機構を解明するため、インスリンとIGF-I受容体チロシンキナーゼを介する細胞内情報伝達を研究した。 (1)IRS-1欠損マウスの作成とIRS-2の同定 IRS-1はインスリンによりチロシンリン酸化を受ける分子量160-185KDaの蛋白でありインスリンの細胞内主要シグナル伝達経路であると考えられている。我々はIRS-1を欠損するマウスの作成に初めて成功した。このIRS-1欠損マウスでは、糖尿病になるには至らなかったが、インスリン抵抗性を認めた。IRS-1欠損マウスの脂肪細胞や骨格筋でグルコース輸送やグリコーゲン合成の低下を認めた(Nature372,182-186,1994)。IRS-1ノックアウトマウスは遺伝子異常の部位の明らかな初めてのインスリン抵抗性モデル動物である。また、IRS-1欠損マウスで、インスリン依存性に190kDaのチロシンリン酸化蛋白を認め、IRS-1と同様にPI3キナーゼやASH/Grb2を結合することを示した。このpp190は、IRS-1の機能を一部代替しうるインスリン受容体の新しい基質と考えられIRS-2と命名した(J.Biol.Chem.印刷中,1995)。 (2)IRS-1に結合する蛋白の同定とその機能 我々はIRS-1にASH/Grb2が結合することを先に報告したが、このASH/Grb2の機能は不明であった。インスリンは繊維芽細胞に形態変化を起こすがこれはrasを介する。この系にASH/Grb2に対する抗体をマイクロインジェクションすることにより、このrasを介する細胞形態の変化がほぼ完全に抑制された。また、Srcファミリーチロシンキナーゼを抑制的に制御しているCSKがIRS-1に結合することを見出した。IRS-1に結合したCSKはインスリンによるFAK/paxillinの脱リン酸化を引き起こす可能性が高く、この経路もインスリンによる細胞運動、細胞接着、形態変化に関与している可能性がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)