増殖因子シグナル伝達系におけるチロシンホスファターゼの機能に関する研究
Project/Area Number |
06281243
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
的崎 尚 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (80252782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 雅人 神戸大学, 医学部, 教授 (50161047)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
|
Keywords | チロシンホスファターゼ / SH_2ドメイン / チロシンキナーゼ / Ras蛋白 / 細胞増殖 / 遺伝子ノックアウト |
Research Abstract |
A.研究目的 チロシンホスファターゼは、チロシンキナーゼ系を介した正常な細胞増殖や発癌過程に重要な調節的役割をはたしているものと考えられるが、未だその詳細は明らかでない。私達は、最近、src-homology2領域(SH2 domain)を有するPTPaseであるSAP-2のcDNAクローニングに成功しているが、SAP-2はSH2 domainを介してチロシンキナーゼ型受容体やその気質蛋白に結合し、作用することが想定される。本研究では、チロシンキナーゼ型増殖因子受容体の細胞内シグナル伝達機構における、SAP-2の生理機能を明らかにしようと計画した。 B.方法と結果 1.SAP-2のPTPase活性を消失させた変異型SAP-2cDNAを、インスリン受容体を過剰発現するCHO細胞にトランスフェクトした。PTPase活性-の細胞においては、インスリン刺激によるRasの活性化、およびMAPキナーゼの活性化が著名に抑制されていた。一方、インスリン刺激によるPI3キナーゼの活性化は、有意に変化していなかった。さらに、変異型SAP-2を過剰発現する細胞において、変異型SAP-2とのみ複合体を形成する分子量12OKのチロシンリン酸化蛋白を同定した。 2.SAP-2遺伝子欠損マウスの作成に関しては、SAP-2ゲノムDNAを単離した後、これをneo耐性遺伝子、ジフテリア毒素遺伝子を含むターゲッテイング用ベクターに組み込み、現在、homologous recombinationを生じたクローンをサザン法にて選択中である。 C.考察 本研究により、SAP-2がインスリンのRas活性化に決定的な役割を果たしていることが明らかとなった。おそらく、インスリン以外の他の増殖因子のシグナル伝達においても、Ras活性化に働き、細胞増殖に対して促進的に作用するものと考えられる。次に、どのようなメカニズムを介してSAP-2がRasの活性化を刺激するかが興味深いが、私達は、変異型SAP-2とのみ複合体を形成する分子量120Kのチロシンリン酸化蛋白が、SAP-2の気質蛋白ではないかと想定している。即ち、変異型SAP-2はPTPase活性を有しない為、そのターゲット蛋白である120Kは強度にチロシンリン酸化され、且つ変異型SAP-2と複合体を形成するものと考えられる。120K蛋白の精製、およびcDNAクローニングにより、SAP-2のより詳細な作用機構が解明されるものと思われる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)