Project/Area Number |
06282221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡部 久実 新潟大学, 医学部, 助手 (50143756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 徹 新潟大学, 医学部, 教授 (30005079)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
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Keywords | 担癌マウス / 肝リンパ球 / TIL / intermediate TCR細胞 / 胸腺外分化T細胞 / 抗腫瘍活性 |
Research Abstract |
これまで腫瘍免疫に関与するリンパ球として、T細胞、NK細胞が知られている。一方、研究代表者らは、T細胞の中に肝類洞で胸腺外分化するものを見出して報告し続けている。通常のT細胞は、自己応答性のクローン(全体の95%)が胸腺で消去されて成熟するが、胸腺外分化T細胞にはこのシステムがない。従って、胸腺外分化T細胞には自己応答性があり、異常自己の排除に当たっているものと考えられる。我々は、肝類洞や、癌局所からのリンパ球の分離法を確立し、その性状解析を進めている。胸腺外分化経路が活性化される時は、逆に胸腺萎縮に伴い胸腺内分化経路は抑制され、両者は相拮抗して生体防御に当たっているものと考えられる。異常自己の認識系としての胸腺外分化T細胞を理解することが、抗腫瘍免疫に新しい展開をもたらすものと考えている。 C57BL/6マウスに同系のMCA105腫瘍細胞を接種し、肝、脾および胸腺の細胞数の変化を調べると、腫瘍の初期増殖の起こる2週間までに、肝のリンパ球が増加した。その後も肝のリンパ球数は増加傾向を示し、逆に胸腺リンパ球数は減少した。フローサイトメトリーでの解析により、肝で増加するリンパ球はCD3(あるいはTCR) intermediate^+IL-2Rβ^+の胸腺外分化T細胞(intermediate TCR細胞)がその主体を占めていた。さらにこの肝リンパ球にはMCA105腫瘍細胞に対して特異的なキラー活性が誘導されていた。C57BL/6マウスに同系の各種腫瘍細胞を接種し、腫瘍局所浸潤リンパ球(TIL)を採取しそのリンパ球サブセットの構成を検索した。TIL中のほとんどのT細胞はintermediate TCR細胞であることが明らかとなった。また、NK細胞の浸潤も多いことが示された。 本研究により、担癌マウスでは胸腺外分化T細胞が肝や腫瘍局所で活性化されることが明らかとなった。これらの細胞は自己応答性を示すことが分かっているので、この自己応答性を利用して抗腫瘍活性を発揮しているものと考えられた。
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