一酸化窒素合成酵素を標的とした固型癌の診断と治療-とくにNOによる血管透過性亢進作用の制御に基づく-
Project/Area Number |
06282247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 陽一郎 熊本大学, 医学部, 助手 (10244112)
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 固型腫瘍 / 腫瘍血管 / 血管透過性 / 一酸化窒素 / 高分子制癌剤 / ブリジキニン / プロスタグランジン / キニンアンタゴニスト |
Research Abstract |
マウス固型腫瘍S-180,Colon38,B-16,B-16F10,Lewis肺癌を移植し、腫瘍血管透過性に関して高分子制癌剤のモデルとなるエバンスブルーまたは[^<51>Cr]標識アルブミンを静脈注射し、これらの腫瘍内集積性をNOスカベンジャーであるPTIO投与群とPTIO非投与群で定量した。S-180,Colon38,B-16F10腫瘍では、PTIO投与群に腫瘍血管透過性亢進の抑制が25-40%認められたが、B-16,Lewis肺癌では抑制傾向は認められなかった。これらの結果からNOが腫瘍血管透過性亢進作用を有することが判明し、癌腫により血管透過性亢進作用に対するNOの関与に差異があることが明らかになった。この差異は、血管透過性亢進作用にNO以外の腫瘍血管透過性因子、ブラジキニン、プロスタグランジン等の他の生体内因子が総合的に関与しているためと考えられる。このPTIOによる抑制はNO合成酵素阻害剤であるL-NAMEとほぼ同等の効果であった。またキニンアンタゴニスト(HOE140)、インドメサシンさらにPTIOの併用により腫瘍血管透過性を約75%抑制した。今回使用したPTIOやL-NAME、あるいはHOE140やシクロオキシゲナーゼ阻害剤だけでなく腫瘍血管透過性因子のアンタゴニスト(又はその抗体)等を併用させることで、総合的に腫瘍血管透過性亢進を正常組織レベルまで抑制可能と考えられる。 次にラット固型腫瘍(AH136B)をラット足背部に作成し、腸骨動脈よりカニュレーションでNO放出剤であるSNAPおよび[^<51>Cr]標識アルブミンを投与し、標識アルブミンの腫瘍内集積量を検討した。その結果、全身の血圧を低下させない程度のSNAP投与量(0.1mg/kg)では、SNAP非投与群と比較して標識アルブミンの腫瘍内集積量で約50%の増加が認められた。またこの系にアンジオテンシンIIを併用し昇圧すると、さらにその集積性を増強できた。この結果は、NOを用いることで高分子制癌剤をより多く腫瘍へ集積し得ることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)