光反応性を利用した新しい抗癌剤の開発とその作用機構
Project/Area Number |
06282258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蒲生 忍 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90122308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 活性酸素 / 上皮増殖因子 / レセプター / リン酸化 / MAPキナーゼ / 扁平上皮癌 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
我々は、多重芳香キノン環を持つ植物色素カルホスチンCが扁平上皮癌細胞株NAや肺腺癌細胞株A549のEGFレセプターのSer/Thrリン酸化とインターナリゼーションを可視光依存的に促進することを見出した。EGFレセプターのリン酸化はカルホスチンC/可視光処理後30分以降に観察される。さらに、c-fos遺伝子発現の促進が、カルホスチンC/可視光処理後30-60分に観察され、さらに強い細胞傷害性が見られた。EGFレセプターのリン酸化部位のホスホペプチドマップ法による解析から、これらの細胞応答には細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすMAPキナーゼの活性化が示唆された。そこで、カルホスチンC/可視光処理後、MAPキナーゼを免疫沈澱法で解析したところ、Tryリン酸化が処理後5分で観察された。従って、MAPキナーゼがリン酸化により活性化され、MAPキナーゼによりEGFレセプターがリン酸化されインターナリゼーションを促進、さらに増殖初期応答遺伝子の発現促進に至ると示唆された。MAPキナーゼが、カルホスチンに直接の標的分子か、あるいはMAPキナーゼをリン酸化する酵素もしくはさらに上流の因子が標的分子かを検討中である。 カルホスチンCと側鎖の構造が異なる類似体カルホスチンDでも可視光依存的なMAPキナーゼリン酸化、EGFレセプターリン酸化、c-fos遺伝子発現促進が見られた。従って、一連の応答は両物質に共通の構造、多重芳香キノン環が可視光依存的に一重項酸素を発生させることに起因すると示唆された。 カルホスチンは可視光依存的に強い細胞傷害性を現す。この傷害性は、上記の各応答と同様にその活性酸素発生に起因すると考えられる。その作用機構の中に活性酸素の発生を含む抗癌剤が知られているが、カルホスチンの可視光依存性は局所的に細胞傷害を誘導できる可能性を示しており、消化器癌や皮膚癌等の新しい抗癌手法となる可能性が示唆される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)