動的速度論分割に基づく不斉水素化反応(生理活性物質の立体選択的合成への適用)
Project/Area Number |
06453038
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 理学部, 助教授 (50169885)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥7,400,000 (Direct Cost: ¥7,400,000)
Fiscal Year 1994: ¥7,400,000 (Direct Cost: ¥7,400,000)
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Keywords | 速度論的光学分割 / 動的速度論分割 / BINAP / 光学活性ルテニウム / 定量的解析 / 立体選択的合成 / 不斉水素化反応 |
Research Abstract |
不斉反応条件下においては、エナンチオマーの関係にある分子は異なった速度で反応する。この原理に基づいてラセミ化合物を不斉反応によって速度論的に光学分割することができる。この方法は、近年、有機合成にしばしば利用されるが、収率は理論的に50%を越えない、生成物ないし未反応基質の鏡像体過剰率は変換率に依存するという本質的な欠点を有する。しかし、基質が光学的に不安定で反応系中でラセミ化可能な場合には、動的な速度論分割によって原理的には100%の収率で、生成可能な複数の立体異性体のなかから一つだけを得ることが可能となる。立体選択的合成法の新しい方向として注目される。本研究者は2,2′-ジフェニルホスフィノ-1,1′-ビナフチル(BINAP)を配位子とする光学活性ルテニウム(II)錯体を用いる触媒的水素化反応を活用して、α位に置換基をもつβ-ケトエステル類を動的速度論分割する方法を開拓し、プロスタグランジン関連物質、カルバペネム抗生物質、異常アミノ酸などの有用生理活性物質群の効果的合成を実現した。さらに、立体化学制御因子を系統的に整理して、これらの関数化することによって、任意時間における選択性の予測、また、その時間変化の視覚化を可能にした。従来、試行錯誤的になりがちな反応条件の最適化に論理的な要素を与えるとともに、反応系の定量的解析を可能にした。また簡単な分子モデリングから立体選択性発現の分子機構を説明することにも成功した。本研究は当初の計画通りに進行し研究計画はすべて成功した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)