Research Abstract |
1.組織学的検討 (1)正常ヒト皮膚 血管内皮細胞はintercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)を構成的に発現していたがE-selectinとvascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)は殆ど発現していなかった。 (2)アトピー皮膚炎病変皮膚 急性病変部ではICAM-1の発現増強とE-selectinとVCAM-1の発現誘導が認められた。 慢性病変部ではICAM-1とE-selectinの持続的発現が認められた。急性,慢性病変部ともに浸潤細胞の多くはCD3,CD4,CD45RO陽性のhelper-inducer/memory T細胞であった。その細胞数は急性,慢性病変部ともに,E-selectinの発現強度と顕著な正の相関を認めた。 2.soluble ICAM-1のELISA法による測定 血清中のsoluble ICAM-1量は健常人に比してアトピー性皮膚炎患者で有意に上昇していた。また,soluble ICAM-1量はアトピー性皮膚炎の軽快とともに有意に減少していた。 以上の結果から,アトピー性皮膚炎の病態形成における細胞接着分子の重要性が示唆された。今後は精製soluble ICAM-1を用いて,アトピー性皮膚炎患者皮疹部より樹立したT細胞クローンへの走化性を検討したい。
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