神経性食欲不振症の難治化する脳内ヒスタミン機能亢進とその治療法の開発
Project/Area Number |
06454342
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
内分泌・代謝学
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
坂田 利家 大分医科大学, 医学部, 教授 (50037420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 一眞 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (50181392)
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
吉松 博信 大分医科大学, 医学部, 助手 (00166993)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 神経性食欲不振症 / 神経ヒスタミン / ヒスチジン / Histidine decarboxylase / HPLC / 視床下部 / アミノ酸 |
Research Abstract |
神経性食欲不振症(AN)における脳内ヒスタミン(HA)の病態生理学的意義を明らかにするため、以下のような実験を行った。1)るいそうモデルラットにおける行動異常と神経HA動態:体重減少を示すモデル動物として、絶食飢餓ラットおよびストレプトゾトシン(STZ)誘発性の糖尿病ラットを用いて解析した。絶食飢餓ラットはインスリン低下、慢性的低血糖という代謝動態を示し、行動上は体重減少にもかかわらず再給餌後の摂食量が減少した。STZ糖尿病ラットでは、インスリン欠乏、高血糖という状態下で同様に著明な体重減少をきたすが、摂食量は逆に増加しており、両者に相反する行動変化が観察された。視床下部HA、その主要代謝産物であるテレメチルヒスタミン(t-MH)、HA合成酵素であるhistidine decarboxylase(HDC)活性はいずれも絶食飢餓ラットで高値を示し、STZ糖尿病ラットでは低値を示していた。まとめると、両者にみられた摂食行動の差異はこのHA神経系の動態が反映されたものといえる。しかもこのHA神経系の賦活化は単なる体重減少で誘起されるのではなく、エネルギー基質の代謝動態に起因していることが明かになった。2)蛋白代謝動態と神経HA:蛋白欠乏食および必須アミノ酸欠乏食で飼育したラットでは、血中および脳内ヒスチジン量が増加し、脳内ヒスタミン含有量も増加した。ヒスチジン負荷食ラットでも、この代謝応答は同様であった。蛋白欠乏食、必須アミノ酸欠乏食、ヒスチジン負荷食で飼育したラットでは、いずれも摂食量が抑制された。蛋白および必須アミノ酸欠乏時のヒスチジンの主たる供給源は筋肉内貯蔵のヒスチジン含有アミンで、血中ヒスチジンの増加は他のアミノ酸の脳内移送に寄与していた。3)患者脳脊髄液の解析:AN患者の脳脊髄液のHA、t-MH、ヒスチジン、その他のアミノ酸それぞれの含有量を測定し、ヒスチジン-HA代謝動態を解析した。AN患者では健常群よりもヒスチジン含有量が有意に低値で、HA量は高かった。この結果、HA/ヒスチジン比は上昇しており、AN患者の脳内HDC活性が高いことが示唆された。蛋白欠乏食飼育ラットではヒスチジン増加に伴って脳内ヒスタミン量が上昇したが、このモデル動物とは異なり、AN患者で得られた結果はヒスチジン量が減少するにもかかわらず、ヒスタミン量が高いというものであった。この相異は、AN患者ではエネルギー基質欠乏そのものがHDC活性を賦活化し、ヒスチジンが低いにもかかわらず、ヒスタミン合成能を亢進させたことによる。現在、治療的応用として、エネルギー量とアミノ酸組成を考慮した食事、それにヒスタミンH1受容体阻害薬の使用等を検討中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)