Project/Area Number |
06610068
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
実験系心理学
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
兒玉 典子 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (50127007)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1994: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 養育メカニズム / マウス / プロラクチン / 養育行動 / 交尾経験 / 雌との同居経験 |
Research Abstract |
本研究は、父親が子を養育するメカニズムを解明することを目的とし、ホルモンと経験の両面から検討したものである。 ホルモンについては、Sic:lCRマウスを用い、まず、童貞雄の精巣を摘出し、その後テストステロンの慢性投与を行った。その結果、これらの操作は雄の養育行動を変化させなかった。 次に、S:c:lCRマウスの父親と童貞雄のホルモンを比較した。比較したホルモンは、アンドロゲンとプロラクチンである。両者の血液を遠心分離し、血清中に含まれるアンドローゲンとプロラクチンを定量したところ、父親のプロラクチンの血中濃度は童貞雄の約3倍にまで増加していることが明らかになった。アンドロゲンの血中濃度には増加は認められなかった。一般に、マウスの父親は童貞雄に比較して養育行動を非常に多く行う。したがって、プロラクチンと父親の養育行動の間に密接な関係があると推測される。 そこで、雌と交尾し分娩直前まで同居し続けたSlc:lCRの雄を用い、プロラクチンを投与した後に養育行動を測定した。その結果、プロラクチン投与は養育行動を増加させることが明かとなった。 最後に、父親になる過程の中で雄が経験する2要因(雌との交尾・妊娠した雌との同居)を取りあげ、両要因の養育行動への寄与を、Slc:lCRマウスを用いて検討した。そのため、(1)正常な雌と交尾し、そのままその雌と同居する雄、(2)卵管結紮した雌と交尾し、その雌と同居する雄(雌は妊娠しないが、排卵周期は定期的に生起するので、雄はその雌と交尾する)、(3)既に他の雄と交尾し妊娠した雌と同居する雄(雄はその雌とは交尾しない)、(4)卵巣摘出した雌と同居する雄(雌は排卵周期が消失し、妊娠もしない。雄はその雌との交尾をしない)、の4群を設け、養育行動を調べた。その結果、(1)の雄が最も養育行動を多く行ったが、そのプロラクチンの血中濃度は童貞雄の濃度と同じであった。 以上のことから、雄は養育行動を行うためのホルモン的基盤(プロラクチン)を持っていること、また、父親になる過程での交尾と同居がともに雄の養育行動をある程度高めることが明かとなった。
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