Project/Area Number |
06620009
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
片岡 直樹 久留米大学, 法学部, 助教授 (60161056)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1994: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 中国法 / 環境紛争 / 環境訴訟 / 環境行政 / 汚染賠償 / 行政調停 / 中国裁判 / 中国行政訴訟 |
Research Abstract |
本研究では、中国の環境紛争の事例を収集し、紛争処理の特質を、法制度の整備と対比しながら分析することを目指した。判例集等が公刊されていない状況なので、雑誌・新聞あるいは書籍に登載されている事例の収集作業を行い、そのデータ・ベース化を進めてきた。データ・ベースに基づく類型別の特色分析のため、法制度の具体内容との突き合わせを行っているところである。ただ1970年代については中国法制度の混乱時代のために資料的な制約が大きく、未解明の部分が残された。歴史的変化を踏まえての特質の解明作業は、資料探索を行いながら継続しているところである。 本年度の研究作業では、汚染問題における民事賠償問題解決制度に混乱が生じていることを明らかにした。中国では環境汚染賠償紛争における行政部門の役割について、法制度の変化、それに対応した法解釈論の変化がある。それは行政の判断が当事者を法的に拘束しないものへの変化(調停化)である。しかしこのような法制度上の変化に対して、従来の強制力が一般的に承認されてきた歴史から、現実の行政や当事者が対応できていないために裁判にまでなっている。しかもその訴訟形式は、行政の出した賠償問題の結論を行政訴訟で争うというものであった。行政の従来果たしてきた役割と、立法によって作り出そうとしている法制度とのギャップの存在、および法治への転換期における立法、行政、司法の混乱を明らかにした。 また本年度は、中国の環境行政訴訟例の詳細な資料を入手できたので、それに基づき中国の環境裁判と環境行政の現実の姿を明らかにした。法制度の文言だけでは明らかではない法の運用の姿を知ることは、紛争処理分析の前提であると考え、収集した文献による裏付け作業を行いながらインテンシヴな分析を行った。そこで明らかになったのは司法解釈権限の独立性の弱さと行政権限の所在の曖昧さである。
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