Research Abstract |
本研究は、恒星系力学の問題の1つである「激しい緩和」現象を数値的に研究するものである。数値計算の方法は,研究代表者(藤原)が独自に開発した,無衝突Boltzmann方程式を用いるもので,これにより初期のvirial比が極端に小さい糸の力学的動化の研究が初めて可能となった。対象となる糸は,数値的方法の制限から球対称恒星系に限られるが,様々な質量分布とvirial比をもつ幅広いモデルを研究した。 予備的研究は,1995年8月にドイツのMax-Planck-Institut fur AstrophysikでAndreas Burkertと共同で行い,計算方法の改良を行いながら研究すべきモデルを検討した。その後,本学のワークステーションが稼働を始めたので,本格的に計算を始め,いくつかの恒星系モデルの計算結果から得られた結論については,日本天文学会秋期年会(1995年10月,於北海道大学)で口頭およびポスター発表を行った。補助金の一部はこのさいの旅費にあてられた。また,その後の恒星系モデルの計算結果も含めた報告は,理論天文学懇談会シンポジウム(1995年12月,於国立天文台)においてもポスター発表の形で行った。現在,予定した恒星系モデルの計算が終了し,近く投稿すべく論文を執筆している段階である。 補助金のうちの設備備品費は,ワークステーションのX端末と,PSプリンタに割り当てられ,ワークステーション上で計算を行うさいの,端末および出力装置として本研究に活用された。
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