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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
常伝導金属(N)と超伝導金属(S)を接合した系では,常伝導金属の電子も超伝導適性質を帯びることが知られており,近接効果と呼ばれている.超伝導近接効果の理論的研究は比較的取り扱いの簡単な不純物を多く含むdirtyな系を対象にして1960年代に盛んに研究された.しかし,最近微細加工技術の進歩によって不純物が少なく界面のきれいなN-S接合試料が作られるようになり,cleanな系での理論が必要になってきた. 本研究では,N-S接合系でのN層のマイスナー効果を調べ,cleanな系ではマイスナー電流がN層内を全く一様に流れており,dirtyな系の理論から予想される結果とは全く異なることを示した.この結果を用いて,Au-Nb接合系での実験で報告されている遮蔽長の温度依存性を説明することができた.(J.Phys.Soc.Jpn,64 549-564(1995))現在,cleanな極限から不純物を加えていくとき,どのような形でdirtyな系の理論につながっていくかを検討中である. N-S接合系において,N層が正または負の対相互作用を持つ場合,近接効果によって誘起される対ポテンシャルの効果によって,N層の物性が影響を受ける.我々は,手始めとして,N層の準粒子状態密度を調べ,有限の対相互作用が存在するときにはN層内の状態密度が場所によって変化すること,また,斥力の場合はゼロエネルギー付近に束縛状態が存在することを示した.このことは,現状では超伝導性を示さない物質がどのような対相互作用を持つか判定するのに有用な情報を提供する.有限の対相互作用がマイスナー効果にどう現れるかは現在検討中である.(J.Phys.Soc.Jpn,64 No.5,in press)
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