銅硫化物超伝導体Cu_<1+x>Rh_<2-x>S_4の核磁気共鳴よる研究
Project/Area Number |
06640480
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大野 隆 徳島大学, 工学部, 助教授 (70035640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 豊 徳島大学, 工学部, 助手 (80201458)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 銅硫化物超伝導 / 核磁気共鳴 / スペクトル / ナイトシフト / 緩和確率 / BCS超伝導 |
Research Abstract |
1.はじめに 銅酸化物高温超伝導体の研究がきわめて活発であることは言うまでもないが、その高温超伝導発現機構は依然として解明されねばならない課題である。そしてその解決の為には幅広く化合物伝導体の系統的な研究を行なう必要がある。最近銅硫化物伝導体の研究も行なわれて来た。その中でCuRh_2S_4系、CuCo_2S_4系の超伝導とCuIr_2S_4系の金属-絶縁体転移が非常に興味深い。そこで私達は超伝導体Cu_<1+x>Rh_<2-x>S_4系の物性をCu及びRhの核磁気共鳴により微視的に研究を行なった。 2.研究経過 測定する試料は愛媛大学の宮谷教授が物性研究所の石川研究室で作成されたCu_<1+x>Rh_<2-x>S_4を提供して頂いた。^<63>Cu NMRスペクトル、スピン-格子緩和確率1/T_1の温度変化を測定した。 3.研究成果 (1)NMRスペクトルは、Cuイオンは異なる2つの四面体位置と六面体位置を占めているにもかかわらず一対の^<63>Cuと^<65>Cu核の幅の狭いスペクトルである。これらは四面体位置のすべての核スピンレベル間の遷移による吸収線と六面体位置のセンター吸収線の重なったものと考えられる。 (2)ナイトシフトは常伝導状態では-0.05%から-0.1%の間でわずかに温度低下と共に減少する。K-xプロットから超微細結合定数を-125kOe/μ_Bと見積もった。この値は非超伝導のCuOで報告されている値-146kOe/μ_Bに近い。高温超伝導体のCuO_2面ではこれらの値とは全く異なり、Oイオンを通しての超交換相互作用が重要である。超伝導状態では反磁性の為ナイトシフトの評価は難しい。Rossier and MacLaughlinの論文に基づき、ナイトシフトの評価を試みた。 (3)核磁化の回復はNMRスペクトルが2つの四面体位置と六面体位置の異なる電場勾配を感じているCu核の信号が重なっているので、単一指数関数的ではない。スピン-格子緩和確率1/T_1は従って、長いT_<1L>と短いT_<1S>を評価した。それらは共に常伝導状態ではコリンハの関係に従う。超伝導状態では、T_cの直下でBCS理論の示すcoherence enhancementを示す。また更に低温では指数関数的な温度変化を示す。それらの温度変化から最小自乗法により常伝導エネルギーギャップを見積もると、ほぼBCS理論値に近いことが分かった。Cu_<1+x>Rh_<2-x>S_4はBCS超伝導体と結論される。 (4)グルノ-ブルでの第4回超伝導国際会議で論文発表を行なった。またfull paperをPhysica Cに投稿中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)