Project/Area Number |
06640513
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齊藤 幸夫 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (20162240)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Keywords | 合金ポッツ模型 / 拡散律速成長 / 一方向凝固 / 共晶 / 秩序-無秩序転移 / スピノ-ダル分解 / 核成長 |
Research Abstract |
拡散が支配的な雰囲気での結晶成長では、多様な形態が見られる。二元合金を温度勾配のもので引っ張って成長させる一方向結晶成長も、その一つの例である。これまでその研究は線型安定性と定常成長時のものが主であった。しかし強い不安定性のもとでは時間依存のある形態も実現する。そこで本研究では、広範囲の現象にも適用し得るモデルとして「ポッツ合金モデル」という格子模型を導入して、その性質を調べた。 結晶と液体の本質的な違いは密度ではなくその規則度であることに注目し、空間を原子が1個づつ入ったセルに分ける。セル内で原子のいる位置がq通り有ると仮定して、q状態ポッツ・スピンで融解を表す。更に合金の各成分に対応して2種類のポッツ・スピンを導入する。このポッツ合金モデルを平均場近似して、まず平衡相図を調べた。その結果、原子間相互作用の組み合わせにより、最も簡単な完全固溶体型から、共晶点を持つ型、固相内で秩序-無秩序転移が存在するような型まで様々な相図を得、このモデルの適応性の広さが示された。この部分の結果はJournal of Crystal Growth受理され、まもなく出版予定である。その後、相図を参考にしながら、スピノダル分解や核成長といった動的なふるまいを調べた。スピノダル分解では、その特徴的なドメインの大きさの時間依存性や、構造因子の波数の大きいところでのスケーリング則などを求めた。核成長では、核半径の時間依存や、核の形状と表面張力との関係、そしと濃度の拡散の仕方などの知見を得た。現在は、一方向成長のシミュレーションに向けて、一定の温度勾配中で静止している場合の固相、界面、液相にわたる濃度分布の様子を調べている。実際の一方向成長の計算は今後の課題である。 以上、本年度は合金結晶成長の形態形成研究の基盤となる一モデルを提唱し、その静的、動的特徴を調べ、今後に対する萌芽的な研究を行った。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)