高時間分解パルスおよび二次元EPRによる配位化合物の光化学反応過渡過程の解析
Project/Area Number |
06640711
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩泉 正基 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70006295)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 裕範 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10176985)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Keywords | 二次元EPR / 配位子化合物の光化学 / FT-EPR / 二次元EPRニューテーション法 |
Research Abstract |
亜鉛テトラフェニルポルフィリンとベンゾキノンとの間の光誘起電子移動反応をFT-EPRにより検討し、反応の各過程の速度定数、スピン緩和速度などを決定した。また反応に対する塩、窒素塩基共存の効果などを明らかにした。ここで用いた通常のFID信号をフーリエ変換するFT-EPRの方法では、ポルフィリンカチオンのように非常に線幅の広い信号は観測が困難であった。このような線幅の広い信号の観測に、本研究では電子スピンエコー信号をフーリエ変換する方法が極めて有効であることを示した。本反応系では反応中間体としてポルフィリンカチオン-ベンゾキノンアニオンの間のスピン相関ラジカル対が生成する。このラキカル対によるESR信号は反応生成物であるカチオン、アニオンラジカルの信号と重なり、ラジカル対の挙動を追跡するには困難があった。本研究ではFT-EPRの測定において、マイクロ波パルスの時間幅を変えてFID信号を測定し、マイクロ波パルス幅(t_1)とFIDの観測時間(t_2)の両時間軸についてFT処理を行い、一軸は通常のFT-EPRスペクトル、もう一つの軸はニューテーション周波数に相当する二次元EPRスペクトルを求め、これによりラジカル対の信号を遊離のラジカルから分離して観測することを試みた。この方法にはラジカル対の寿命が長く存在することが知られている水溶性のポルフィリンとベンゾキノンの間のミセル中の光誘起電子移動反応を試みた。その結果、部分的ではあるが、遊離のラジカルの信号からラジカル対の信号を分離して観測することに成功した。ラジカル対は遊離ラキカルと比較するとより高いニューテーション周波数とより低いニューテーション周波数を示した。理論的な考察をオフレゾナンス効果を含めて行い、実験結果を説明し、更に、この方法が反応過渡過程で生成するスピン相関ラジカル対の挙動を研究する新しい手法として極めて優れたものであることを示した。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)