Project/Area Number |
06640713
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大野 修 茨城大学, 工学部, 助教授 (30185342)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | テトラベンゾポルフィリン / テトラナフトポルフィリン / 電荷移動状態 |
Research Abstract |
電荷移動(CT)励起状態にある金属錯体では大きな分極が予想されることや電荷移動に伴う錯体の構造変化の点で興味深い。本研究ではベンゾ置換、ナフト置換によりπ共役系を拡大したポルフィリンを配位子とする金属錯体について、分光測定をもとに低いCT励起状態の存在について検討した。また、分子軌道法計算を用いて励起状態の帰属について検討した。 1.メソ位にフェニル基を導入して可溶化したテトラベンゾポルフィリン(TBP)、および、さらにπ共役系を拡大したテトラナフトポルフィリン(TNP)を配位子とする亜鉛、銅、パラジウム錯体を単離精製し、可視紫外吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定を行なった。共役系の拡大に伴って、ππ^*励起状態は低エネルギー側へ順次シフトする事が確認されたが、同時に以下の点が新たに判明した。TBPの銅(II)錯体では可視領域に亜鉛、パラジウム錯体に見られない特徴的な吸収帯(B帯)をもつが、ポルフィリンおよびTNP錯体ではこのような特徴は見いだされない。また、TNPのいずれの錯体でもB帯の吸収強度が著しく低下し、同時にその短波長側に別の強い吸収帯が現れる。TBP錯体のリン光を比較したところ、銅(II)錯体のリン光が著しく長波長側へシフトしており、CT状態からの発光であることが示唆された。 2.共鳴ラマンスペクトル、MCDスペクトルの測定から、TBP銅(II)の特徴的なスペクトルはCT状態がππ^*励起状態に近い低エネルギー領域にあるためであることがわかった。この結果は分子軌道法計算によっても支持された。また、電荷移動にともなってポルフィリン分子が面外方向に変形することを示唆する結果が得られた。一方、TNPの場合には、低い励起状態を記述する上で高い空軌道が重要であることが明らかとなった。
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