Project/Area Number |
06640714
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic chemistry
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
今野 巧 筑波大学, 化学系, 講師 (50201497)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 金属イオン / チオラト単核錯体 / 不斉集合 / 硫黄架橋多核錯体 / ラセンキラリティー / 光学分割 / キラル識別 / 結晶構造 |
Research Abstract |
チオレート配位子(RS^-)を配位した八面体型単核錯体は、配位チオラト基の高い求核性により他の金属イオンと結合し、硫黄架橋多核錯体を形成する。これまで、Fe^<3+>やCo^<3+>など八面体性金属イオンとの反応では、単核錯体が二分子集合した直線型三核錯体が、一方、Zn^<2+>やCd^<2+>など四面体性金属イオンとの反応では、単核錯体が四分子集合したT-ケージ型八核錯体が得られている。本研究では、反応させる金属イオンを、これまで研究例のない直線性のHg^<2+>やAg^+に変えることにより、チオラト単核錯体の特異的不斉集合の発現と新種の硫黄架橋多核構造の開発を行った。 その結果、チオラト単核錯体fac(S)-[Rh(aet)_3]とHgCl_2との反応が、新規の硫黄架橋五核錯体を形成することを明らかにした。この錯体では、3つのHg_<2+>が2つの八面体単核ユニットを連結している。そして、Hg原子は、2つのS原子と2つのCl原子に配位され、異常にひずんだ四面体構造をとっている。この錯体の2つの単核ユニットの絶対配置は同じであり、選択的にΔΔ体とΛΛ体のみを形成する。さらに、この錯体には、3本のRh-S-Hg-S-Rh鎖による特異的なラセンキラリティーが存在することも明らかとなった。AgXとの反応でも、類似の硫黄架橋五核錯体が形成された。この場合、Ag原子は2つのS原子にのみ結合されており、ほぼ直線構造をとっている。これら硫黄架橋五核錯体の2つの異性体(ΔΔ体とΛΛ体)は、d-酒石酸イオンやその誘導体により光学分割されることがわかった。さらに、Ag_3Rh_2五核錯体は、dl-酒石酸イオンにより自然分晶することも見いだした。このような五核錯体に対する酒石酸イオンによるキラル識別機構を結晶構造学的に解明するとともに、不斉配置と円偏向二色性(CD)スペクトルの関連をも明らかにした。
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