Project/Area Number |
06640744
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機能・物性・材料
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
並木 章 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (40126941)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | ハプ-ニング / 塩素分子線 / アルカリ吸着表面 / パウリ反応 |
Research Abstract |
塩素分子の表面反応には、表面電子移動に伴う負イオンラディカルや、解離に伴う原子状ラディカルの形成が期待される。表面電子移動は表面の仕事函数が低いときに有効に起こる。アルカリ金属は、表面に吸着し仕事函数を3eV以上も下げる。気相ではHarpooningとして有名な塩素とアルカリの反応が表面ではどのようになるかについて、分子線を用いた動的な研究を行った。 表面温度300Kにて、塩素と吸着アルカリ反応は、入射エネルギーにより活性化されていることを発見した。更に、未反応散乱塩素が直接非弾性散乱を示す事実から、相互作用ポテンシャルの反発性を証明した。この反発的なポテンシャルの物理的起源はパウリ反発で有ることを理論的に予言した。更に表面温度を200Kまでに下げて、塩素と吸着アルカリの反応がどうなるかを調べた。その結果、いくつかの重要な結果を得ることが出来た。 (1)300Kでの場合と同じく、低入射エネルギー(0.055eV)では、吸着アルカリは塩素との反応を阻害する方向に働く。即ち、パウリ反応は依然起こっている。 (2)入射エネルギーを上げると、反応は活性化され、Harpooningが支配的になる。 (3)塩素が吸着するに従って表面が不働態化しても、未反応散乱塩素の減少が続き、最終的には全ての塩素が表面に吸着する。昇温脱離の実験からは塩素分子が220K辺りで観測され、高塩素被覆域では塩素分子は安定に分子状吸着をする。 (4)他方、Csのない塩素飽和表面では、強い塩素の散乱が観測される。これは、塩素の物理吸着は有限の寿命の内に脱離することを示す。 (5)即ち、吸着アルカリは、物理吸着ポテンシャルを深くする。塩素被覆した表面でのアルカリの役割は、塩素被覆していないときと全く逆である。 塩素の吸着と共に相対立するアルカリ原子の効果は、大変興味の持てるものである。現在、上記の結果に関して2編の論文を投稿中である。
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