Project/Area Number |
06640768
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物質変換
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
久保 恭男 島根大学, 理学部, 教授 (40127486)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | カルボン酸誘導体 / シアノナフタレン / 環化付加反応 / アルケン / 励起錯体 / 励起一重項状態 / ケイ光 / ラジカルイオン |
Research Abstract |
ナフタレン環1、8位へのアルケンの〔3π+2π〕光環化付加反応の適応範囲の全体像の解明を試み、併せて合成化学的応用への可能性を検討したところ、次の知見が得られた。 1.ナフタレン環1、8位へのアルケンの光環化付加反応は、一個以上の電子吸引性基が置換したナフタレンとアルケンとの系において、アルケンから励起一重項状態のナフタレン誘導体への電子移動に伴う自由エネルギー変化△Gの値が+3.5より小さい系において、かなり一般的に進行することが明らかになった。 2.ケイ光消光速度定数と生成物生成の量子収率のStern-Volmerプロットから得られた反応速度定数とが良く一致し、反応がナフタレン誘導体の励起一重項状態から進行していることが確かめられた。極限量子収率の値より、アルケンの酸化電位が低くまた溶媒の極性が高くなるほど、生成物を与える経路より出発原料に戻る経路の寄与が大きくなることが明らかになった。ケイ光消光速度定数に対する置換基効果の検討より、反応は途中に極性のかなり高いexciplexを経由して進行していると考えられる。 3.2-シアノナフタレン及び1、2-、1、4-2、3-ジシアノナフタレンの場合にはアルケンの付加は1、8位においてのみ観測されたが、1、3-ジシアノナフタレンの場合には4、5位でのみ付加が進行した。この観測された付加位置は、シアノ及びジシアノナフタレンのラジカルアニオンのスピン及び負電荷の密度(PM3分子軌道法計算結果)の高い位置に良く対応していることが明らかになった。 4.以上の研究より、反応が進行する系の予想(反応の適応範囲)、付加位置の予想が可能になり、合成化学的応用への道が開かれたと考えられる。
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