Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Research Abstract |
平成6年(1994)の夏季は,異常な高気温・高水温に見舞われたのに,科学研究費補助金の交付が遅れ,申請した投込式冷却器の使用が大幅に遅れてしまった.したがって,折角課題の研究用に飼育していたトラザメおよびコモンカスベの胚仔・稚魚が相次いで斃死し,当初の目的を充分に達成することが不能という残念な事態に陥った.しかし,くじけずに他動物にも研究の領域を広げ,わずか1年間にかかわらず相当な成果を挙げることができた.これらを,順を追って記してみる. 1.軟骨魚類10種と硬骨魚類10種を用い,魚類特有の血管嚢の機能を探ることを意図した.トラザメの胚と稚魚では,NPY陽性免疫活性が神経繊維のほかに髄液接触ニューロンにも検出され,本物質が血管嚢の機能調節に関与していることが推定された.また,脳室内の大食細胞・リンパ系細胞の存在と役割についても電子顕微鏡により観察した. 2.サケ胚と仔稚魚でGnRH細胞の発生過程を免疫組織化学的に追及したところ,鼻プラコードに起源し,脳内に移動してくることが分かった. 3.アユの脳では,GnRH陽性細胞が嗅神経などに神経節を構成しており,その繊維は視床下部から下垂体へ投射されていた.これら陽性物質量は,繁殖期に増加することが分かった. 4.トラザメの胸腺,Leydig器,腎,Epigonal器,肝,胃腸膵管系とそれらのリンパ組織の個体発生,並びにNPY様免疫陽性細胞の出現過程を明らかにした. 以上の結果は,8題の学会講演として発表し,さらに4編の論文に纏め,国際誌に投稿中である.
|