単細胞緑藻クラミドモナスの鞭毛マスティゴネムの形態形成と機能
Project/Area Number |
06640860
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物形態・構造
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中村 省吾 富山大学, 理学部, 助教授 (60134996)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Keywords | クラミドモナス / 鞭毛 / マスティゴネム / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
単細胞緑藻クラミドモナスの鞭毛には、その先端から約1/2までの表面に、マスティゴネムと呼ばれる繊維状物質がブラシの毛のように生えていることが知られている。このマスティゴネムの形態形成と機能を調べるために、マスティゴネムに対するモノクローナル抗体を作製した。まず、蛍光抗体法ならびに免疫電顕法で調べたところ、この抗体はマスティゴネム上の成分を認識すること、そしてマスティゴネムが鞭毛運動する際の、鞭毛打軸の両側に生えていることが判った。次に、この抗体が認識する鞭毛成分をWestern Blotting法で調べた結果、230kDaの糖タンパク質であることが明らかになった。クラミドモナスでは、鞭毛を機械的処理や薬品処理によって切断すると、新たな鞭毛が再生してくる。一方、生えていた鞭毛が、EDTAなどの処理によって、短縮して細胞内に吸収されることもある。この、再生(伸長)・吸収(短縮)過程でマスティゴネムがどの様に形成されたり、変化したりするのかを、蛍光抗体法で観察したところ、マスティゴネムが鞭毛前端の膜表面に形成されながら再生してくるのが、また、マスティゴネムが最後まで鞭毛先端に残されたまま鞭毛が吸収されるのが観察された。これらの結果から、鞭毛膜表面にはマスティゴネムが形成されるための特殊化された領域が存在することが考えられた。最後に、生細胞をこの抗体で処理したところ、マスティゴネムが鞭毛表面から消失することが観察された。この際、鞭毛打頻度は約10%高くなるのだが、遊泳速度が70-80%に減少することが判った。この結果より、マスティゴネムは鞭毛打の際の水の抵抗を得るための有効面積を増大することによって、推力を増強する機能があることが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
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