Research Abstract |
穿孔亜目2種(ネギアザミウマ Thrips tabaci、Chaetanophothrips sp.)、有管亜目クダアザミウマ科7種(フウトウカズラクダアザミウマ Liotrips kuwanai、フウトウカズラヤドリクダアザミウマ L.piperinus、ワサビクダアザミウマ L.wasabiae、未記載種 L.sp.、カキクダアザミウマ Ponticulothrips diospyrosi、マメガキクダアザミウマ P.sp.、Holothrips yuasai)について、新たに分泌物を分析した。その結果、穿孔亜目からはやはり分泌物は見い出されず、有管亜目からはすべて分泌物が見い出された。すなわち、Liothrips属4種はいずれもテルペンのperillene、β-acaridialを含み、他に炭化水素、アセテートを含んでいた。この4種はGLCのパターンがよく似ているが、L.wasabiaeは主成分がβ-acaridialであること、L.kuwanaiは(Z)-9-hexadecenyl acetateを含み、かつ(Z)-7-pentadeceneをかなり多く含むことでL.piperinusと区別可能であった。P.diospyrosi及びP.sp.からキノンのplumbagin及び7-methyljugloneが見い出されたが、これは動物から初めて見い出された化合物である。P.sp.の主成分は未同定の物質で、P.diospyrosiでは(Z)-5-tetradecenoic acidである点明瞭に区別できる。Holothrips yuasaiからは同属で既分析種のH.japonicus、H.hagaiと同様に、3-butanoyl-4-hydroxy-6-methyl-2H-pyran-2-oneが見い出された。このHolothrips3種も分泌物のGLCパターンで区別可能で、化学分類が成立する。 一方、現在までに同定された主な化合物のうち、perillene(1),plumbagin(2),juglone(3),Z-5-tetradecenoic acid(4),2-methylbutyric acid(5),3-butanoyl-4-hydroxy-6-methyl-2H-pyran-2-one(6),citral(7)を用いてアリに対する忌避作用を調べた。特に(3)に強い忌避性を認めた(0.1μgで活性あり)。(6)は殺虫性を示した。現在、Ponticulothrips2種の分泌物についての論文を投稿中である。
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