Research Abstract |
本研究では開発した円弧ツルアにより高精度に円弧ツル-イングされた極微粒ダイヤモンドホイールにより、SiC製X線集光ミラーの鏡面研削を行うための円弧包絡研削法を提案した。研削実験では凹型放物面(本実験では軸の一つを通る断面を直線)の研削加工を行い、その時の研削抵抗,形状精度,ホイール摩耗について調べた。 (1)ツル-イング精度 ツル-イングはすべてホイールの精密動バランスをとった後に,開発した精密円弧ツルアにより機上で行った、粗研削,中仕上げ,仕上げ用の3種類のホイールについて,形状誤差はSD600Bでは±2μm,SD1500B,SD3000Bでは±1μm以内であった.また半径誤差はSD600Bでは設定値+10μm,SD1500B,SD3000Bではそれぞれ-300μm,-900μmであったが、本研削法では、NC装置にホイールの断面半径の測定値を入力するため,半径誤差による影響はない. (2)研削方法と条件 本研究では,円弧断面を有する幅広ダイヤモンドホイールによる円弧包絡研削法を提案した.この場合ホイール断面上を研削点が順次移動するため,ホイール全幅を有効に利用することができ,従来の曲面研削法の問題点の解決を図っている.幾何学計算によれば,研削時のトラバースピッチΔz,ホイール断面の円弧半径rが一定の場合は,工作物の幅方向の形状誤差が工作物の端部ほど大きくなるが,その差が僅かで幅方向に一定と見なして良い.またrが大きいほど、Δzが小さいほど工作物の幅方向の形状誤差形状長が小さくなる.本実験ではr=50mm,Δz=0.3mmで,理論形状誤差が0.2μm以下である. (3)実験結果 研削抵抗については、研削初期に僅かの増加が観察されたが、その後はほぼ定常状態になった.2分力比も約3.0と一定で良好な研削が行われた.しかし、SD3000Bの場合は研削回数に伴う研削抵抗の増加割合がSD600B,SD1500Bと比較すると大きかった.これは切り残し量の累積により発生するものと考えられており、今後の検討課題の一つである.またホイール形状については,SD600B,SD1500Bホイールの場合では±1.5μm,SD3000Bホイールの場合では±1.0μmの形状精度が得られた.どのホイールの場合も幅中央部において,プラスの偏差となっているが,これは研削中のホイールヘッド移動方向で下降から上昇に転じた直後の位置の値である.これは実際の研削点とホイールヘッド位置測定用スケール(CNC装置のフィードバック用)の設置個所が離れているために,研削点の動きに遅れが生じているためである.この点も今後の検討課題である.仕上げ面粗さについては,SD600Bでは0.5μmRmax,SD1500Bでは0.55μmRmax,SD3000Bでは0.2μmRmaxが得られた.最後にホイールの半径磨耗は、幅に均一で,約2μmであった.
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