Research Abstract |
1.立体的空間利用の決定についての理論を整理した。第一に中心市街地の地点xにおける建物の階層kに立地する用途mの立体的付け値賃料関数は、R_m(k,x)と表わすことができる。第二に建物供給者は賃料収入の最大化行動をとり、最高の立体的付け値賃料を持つ用途を各階層の利用主体として選択する。すなわち地点xの階層kの用途m^*は、m^*={m|max__mR_m(k,x)}と決定される。 2.立体的付け値賃料関数を、R_m(k,x)=R(k,x,β_m)+ε_mで表わされる確率変数と仮定し(ε_mはワイブル分布に従う確率攪乱項)、パラメータ・ベクトルβ_mを次のようにして推定した。i番目の立地場所(建物内の一つの区画)が地点xの階層kに位置しそこに用途mの主体が立地したとする。これを記号y_<ij>を用いてy_<ij>=1(j=m),0(j≠m)と表す。このときi番目の立地場所に用途mが立地する確率Pr(y_<im>=1)とは、用途mの立体的付け値賃料が他の如何なる用途の立体的付け値賃料よりも大きくなる確率である。すなわち、 Pr(y_<im>=1)=Pr(R_m>R_j|j≠m)=exp(R(k,x,β_m))/[Σ__jexp(R(k,x,β_j))] と、多項ロジットモデルとして定式化できる。これによりたとえ実際の賃料が計測されなくとも立体立地行動のモデルを推定することができる。 3.仙台市中心市街地の建物別階層別用途データを用いて実際にパラメータβ_mを推定した。なおその際の賃料関数Rはβ_mに関する線形性を仮定した。非線形の方がより望ましいがその推定は今後の課題として残った。このモデルを用いて中心地での階層別用途別立地確率を求めて用途ごとの立体立地の特性を捉えることができた。
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