Project/Area Number |
06650848
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学工学一般
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今野 幹男 東北大学, 工学部, 助教授 (40125547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 友章 東北大学, 工学部, 助手 (70261584)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ゾル-ゲル転移 / 臨界領域 / 高分子電解質 / スケーリング則 / 粘性率 / 弾性率 |
Research Abstract |
高分子溶液のゾル-ゲル転移は、粘性流体であるゾルが弾性体であるゲルへと転移する現象であり従来からこの現象を利用した材料開発が工業的に広く活用されている。そのため、ゾル-ゲル転移に伴う物性変化の定量化が工学的に重要な課題となっている。 近年、ゾル-ゲル転移を臨界現象と捉える概念が提案され、ゲル化に伴う物性変化に対するスケーリング側の適用性の検討が行われている。また、その適用範囲である臨界領域の広さに関しては理論的考察が加えられ、高分子溶液のゲル化では広い臨界領域が存在する可能性が指摘された。この考え方が妥当であれば、物性解析の定量比に対して大きな工学的意義を有していると考えられる。しかし従来の研究対象は、主に分子間相互作用の弱い中性高分子を対象としたもので、高分子電解質に関する研究は立ち遅れた状況にある。そこで本研究では、高分子電解質のゾル-ゲル転移に着目し、そのゲル化に伴う物性変化に対するスケーリング則の適用性と臨界領域に関して検討することを目的とした。本研究で対象とする試料高分子には、多価金属イオン添加により高いゲル化能を有するアルギン酸ナトリウムを用い、ゲル化に伴う物性としては粘性率と弾性率を対象とした。また、粘性率はオストワルド型粘度計により、弾性率は周波数応答粘弾性測定装置によりそれぞれ測定を行った。本実験結果より、それらに対するスケーリング則の適用性は中性高分子と同様に妥当であることを確認した。また、スケーリング解析によって得られた臨界指数は共に統一的な記述ができることも示した。一方、臨界領域の広さに関してはスケーリング解析により定められたゲル化点と臨界指数を用いて検討した結果、広い臨界領域を有することが分かった。さらに、高分子電解質に関する臨界領域のモデルを導出したところ、広い臨界領域の存在を説明することができた。ただし、このモデルに対する高分子濃度及び分子量依存性に関しては未だ充分な検討を行うまでに至らず、今後の課題である。しかし、本研究により高分子電解質のゾル-ゲル転移に対して、スケーリング則の適用の妥当性及び広い臨界領域の存在を示したことは、この現象の工学的な応用を図る上でも大きな意義を有するものと考えられる。
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