Project/Area Number |
06651049
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土田 亮 京都大学, 工学部, 助手 (60183076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 正孝 京都大学, 工学部, 教務職員 (10160425)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 多光子励起 / 電子放出 / 電子移動 / 熱刺激発光 / 電荷再結合発光 / 高分子固体 / 電子捕捉 / 電子親和力 |
Research Abstract |
高分子固体中に生成した電子の挙動は、電子移動理論に対する基礎的な知見を与えるだけでなく、乾式複写装置やレジスト、そして高絶縁性高分子材料等の開発のために重要である。我々は以前に、高分子固体中にドープした低分子芳香族クロモホアを、強力なパルスレーザーで多光子励起することにより、高分子固体中に副反応なく容易に電子を生成できることを見いだした。更に我々は、この放出電子は高分子媒体を昇温することにより親分子と再結合し、その際に親分子の電子励起状態を再生し、発光を生じさせることも見いだした。本研究は、この再結合発光により、高分子固体の電子親和力を評価することと、高分子分子鎖の熱運動によって生じる転移温度を検出することを目的として行った。得られた結果の概要を以下に示す。1.ポリメタクリル酸メチル等のエステル側鎖を持つ高分子は、大きな電子捕捉能を示した。これは、エステル側鎖の電子親和力がある程度大きいことと、捕捉電子がエステル側鎖の分解、高分子の主鎖切断を引き起こし安定化されるためであることがわかった。芳香属ポリエステル系の高分子では、電子は芳香環のアニオンラジカルとして捕捉され、やはり安定であった。しかし、ポリスチレンの様な置換されていない芳香環の電子親和力は小さかった。2.20Kの極低温でレーザー照射によるイオン化を行うと、数十時間まで尾を引く発光が観測された。これはプレグローと呼ばれるもので、高分子の分子運動が凍結された状態での長距離電子移動モデルで解析できた。この結果によると、親分子からの放出電子は、半径約数ナノメートルの球殻状に分布していることが示された。3.プレグローの消失後、試料温度を20Kから300Kまで一定割合で昇温すると、温度に依存した発光が観測された。これはグローと呼ばれるもので、その発光量ピークは高分子の熱転移点と一致して、高感度な転移点検出法であることがわかった。
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