陽電子消滅分光法による高分子のミクロ構造の解析とガス収着・透過物性との相関
Project/Area Number |
06651056
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡本 健一 山口大学, 工学部, 教授 (20029218)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一宏 山口大学, 工学部, 助手 (30188289)
喜多 英敏 山口大学, 工学部, 助教授 (10177826)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | 陽電子消滅 / ポジトロニウム / ガス収着 / 膜透過 / ポリイミド / 自由体積 |
Research Abstract |
オルソポジトロニウム(o-Ps)のクエンチャーである低分子イミド化合物を高分子膜に種々の濃度で添加し、陽電子消滅特性の変化を調べた。クエンチングの速度定数kはポリカーボネート(PC)において0.8、ポリイミド(PI)において0.2[1/(mol・ns)]であった。クエンチングが拡散律速であると仮定してkから見積ったo-Psの拡散係数はPCにおいて3x10^<-6>、PIにおいて0.7x10^<-6>[cm^2/s]で、o-Psが、数nsで消滅するまでの間に移動する距離は0.6〜0.9nm程度となり、ほとんど移動しないことがわかった。 3種類のポリイミド膜をCO_2コンディショニング処理(50atmのCO_2に24時間暴露後、減圧にして脱着)して、その前後の自由体積孔のサイズの分布を陽電子消滅寿命スペクトルから逆ラプラス変換法を用いた解析により求めた。その分布はサイズの大きな方にシフトし幅が広がったことから、コンディショニング処理により自由体積孔のサイズは増加し、大きなサイズの孔が生成したことがわかった。しかし、そのサイズ及び分率の増加は密度変化から見積られる自由体積分率の増加に比べて著しく大きく、ポジトロニウムはサイズの大きな自由体積孔を優先的に見ている可能性のあることが示唆された。 これまでに、種々の高分子膜のゴム状態における気体の拡散係数とo-Psの寿命との間に相関関係があることを明かにしている。さらにガラス状態における相関関係について調べた。比較的ガラス転移温度Tgの低い高分子膜では、上記のゴム状態に対してのものと同一の相関関係があることがわかった。しかし、ポリイミドなどTgが比較的高い高分子膜はその相関関係からずれることがわかった。この差の理由として3つの要因(自由体積孔の形状、Ps生成条件、高分子鎖の局所運動性)の差が考えられる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)