Research Abstract |
日本型水稲コシヒカリ,陸稲トヨハタモチ,日印交雑水稲Sweon287,Sweon290の4品種を供試し,水田・畑条件下における直播栽培での生育パターンの比較と,ポット畑栽培による水ストレス実験を実施した. 圃場試験における収量は,陸稲が水稲に比し低収であり,水稲間では日印交雑品種が高かった.栽培法間では,直播は移植に比し約15%低収となったが,直播の水田と畑条件の差は有意ではなかった.品種と栽培法との間には有意な交互作用が存在した.なかでも日印交雑水稲品種Sweon287は,直播/移植,水田/畑を問わず多収を示し,直播適正,畑栽培適性が高いことが明らかとなった. 出穂期の地上部乾物重は,直播特に畑栽培で大であったが,出穂後の乾物生産は直播特に畑栽培で小となった.これは,主に純同化率が低いことに起因した.Sweon287は,出穂後の純同化率,乾物生産が栽培法によらず大である点が注目された.実験実施年の1994年は,高温・乾燥年であり,圃場条件で1週間以上の無降雨がしばしば観測された.そこで,畑栽培条件下で1週間の無降雨後の光合成速度と降雨後の光合成速度とを比較したところ,無降雨による光合成速度の低下程度は約20%であった.また,この低下程度には品種間差がみられ,日印交雑品種特にSweon287の低下率が小さかった.同様の結果は,ポット栽培による断水処理によっても確認された. 以上のように,供試した4つの異なるイネ品種の中に,直播・畑栽培適性や耐旱性に品種間差が存在し,陸稲品種の耐旱性が水稲品種に比べ必ずしも高くはないこと,また,日印交雑水稲品種群の中に直播・畑栽培適性や耐旱性の高い品種・遺伝子型が依存する可能性が示された.
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