Research Abstract |
自然4nドジョウの精子と通常2nの卵子の受精に以来する2n×4n交配群の3n中,大型卵と小型卵を産することが判明している雌親魚を選び,成熟卵を得た。そして,3nの大型卵をUV照射精子で受精し,雌性発生を誘起した群(3n×UV)と受精後5分に,750kg/cm^2の圧力処理を1分間加え,極体放出阻止を行った群れ(3n×UV・PS)を作出した。染色体観察と赤血球長径測定より前者は3n,後者の一部は6nであることが判明した。これらの魚よりDNAを抽出し,HaeIII,HinfI,あるいはDraIIで切断後,33.6(セルマーク社製)をプローブとしてDNAフィンガープリント分析を行ったところ,雌性発生3n(3n×UV)供試魚の80%は雌親魚と同一のフィンガープリント像を示し,クローン固体となっていることが判明した。同じ雌に由来する雌性発生6n(3n×UV・PS)も同一のフィンガープリント像を示すことから,大型卵の形成にはApomixisが関与することが推察された。3n×UV群中,クローンとわずかに異なるフィンガープリント像を示す残り20%は,組換えにより生じるものと考えられる。雌性発生3n14個体中,12個体が雌親と同じAATアイソザイム表現型を示すのに対し,2個体が異なる表現型を示した事実も組換えの存在を示唆した。 以上の研究より,2n×4nの交配に由来する3nは非還元的に卵を形成し,これら卵より生じる雌性発生3nの多数と,雌性発生6nの全個体は,遺伝的に同一のクローンであることが判明した。これらは新たな実験魚として広汎な応用が考えられるが,3nの卵形成において遺伝的組換えが生じる機構は不詳であった。今後,この点を含め研究をすすめることにより,減数分裂によらず配偶子形成が生じる機構解明を行う必要がある。
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