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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
本研究では主に嗅覚系におけるプログラム細胞死の発現を形態学的に検出するため種々の検索を行い,以下の結果を得た. 1.嗅覚系のプログラム細胞死には-酸化窒素(NO)が関与するとされているため,NO合成酵素の組織内分布を遺伝子組織化学的に検索した.本研究では合成オリゴヌクレオチドを非放射性に標識したプローブを用いて遺伝子組織化学的検索を行った.その結果,NO合成酵素は主嗅球および副嗅球の短軸索細胞,さらに副嗅球の顆粒細胞に局在していることが明らかとなった.また本研究を遂行中にNO合成酵素に対する抗血清が市販されるようになったため,この抗血清を入手して免疫組織化学による検索も行った所,遺伝子組織化学と同一の所見を得た. 2.プログラム細胞死ではまず核のDNAが断片化するため,DNAの3′-末端をTUNEL法によって標識し,各嗅覚受容器においてプログラム細胞死を起こしている細胞を検索した.その結果,細胞死の頻度は嗅上皮で高く,マセラ器および鋤鼻器で低く,嗅覚受容器間で細胞交代の速度は異なることが明らかとなった. 3.プログラム細胞死により,細胞膜の糖鎖にも変化が起きることが予想されたため,各嗅覚受容器をレクチン組織化学的に検索した.その結果,嗅上皮でBSL-I,PHA-E,PHA-L,マセラ器ではBSL-IとPHA-Lが変性中の細胞を検出したが鋤鼻器ではこのような細胞は検出されなかった.従って,プログラム細胞死による膜構造糖鎖の変化は各嗅覚受容器間で異なった様相を呈することが示唆された. 本研究では,以上の様に,嗅覚系のプログラム細胞死に関する様々な興味深い知見を得たが,遺伝子組織化学における最適条件の検討に多大の労力と時間を要したため,発生学的検討に関しては不充分となってしまった.
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