ロタウイルスの宿主域決定に関与するNS53遺伝子の機能の解明
Project/Area Number |
06670317
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Virology
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中込 治 秋田大学, 医学部, 教授 (70143047)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | ロタウイルス / 宿主域 / 遺伝子交雑体 / NS53遺伝子 / 塩基配列 / 種間伝播 |
Research Abstract |
ロタウイルスは、小児期における下痢症の最も重要な病原体である。ロタウイルスの中和には、2つの外殻タンパク(VP4とVP7)が関与している。一方、非構造タンパクは5つある。我々は、ロタウイルスの遺伝子レベルでの多様性について、ウイルスの宿主域との関連に焦点をあて、さまざまな宿主に由来する多数の分離株について、RNA-RNA hybridization法により解析してきた。この結果、非構造タンパクの1つであるNS53遺伝子がきわめて多様性に富む一方、同一の動物種を宿主とするロタウイルスの間では著しく保存されていることを見いだした。 ヒトロタウイルスAU-1株は、本来ネコロタウイルスがヒトに感染したウイルスであると考えられる多くの証拠が蓄積していること、まれな遺伝子型を示すヒトロタウイルスの中にAU-1株とウシロタウイルスの遺伝子交雑体であると考えられる株が多く存在することから注目を集めている。本研究では、AU-1株のNS53遺伝子の全塩基配列を決定し、以下の結果を得た。遺伝子分節の全長は1578塩基対であり、アミノ酸配列に翻訳すると、ウシロタウイルス株のNS53タンパクとの間に87%の相同性があった。また、NS53タンパクにはZinc fingerモチーフが存在するが、AU-1株とウシロタウイルスは、他のヒトおよび動物ロタウイルスが異なり、2つのZinc fingerモチーフが存在した。さらに分子系統樹の上から、AU-1のNS53遺伝子かウシロタウイルスNS53遺伝子のクラスターの中に存在していることが明らかとなった。この結果は、自然界にAU-1株とウシロタウイルスの遺伝子交雑体が多く存在することと合わせて考えると興味深いことである。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)