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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
T細胞が抗原を認識し反応するためには、TCR、MHC分子、抗原ペプチド断片よりなる三分子複合体の形成が必要である。従って、この三分子複合体を分子レベルで解析すれば、免疫反応を人為的に調節できるようになると期待される。我々は、これまでにハトチトクロームcの43-58残基よりなるペプチドp43-58上の、MHCクラスII分子と結合する部位(アグレトープ)は46および54番残基であり、TCRと結合する部位(エピトープ)は47から53番残基であることを報告してきた。今回は、この47から53番残基に対応するTCR上の部位の同定を試み、47から53番残基を順次リジン(K)に置換したペプチド群(47K,48K,49K,50K,51K,52K,53E)を作製した。リジンは正の電荷をもつので、対応するTCR上の残基は負の電荷を持つものに変わると考えられる。p43-58の53番残基に関しては、元々53番残基はリジンであるので、反対の電荷をもつグルタミン酸に置換して、53Eを作製した。47K,48K,49K,51K,52K,53EでB10マウスを免疫して、T cell lineを作製し、TCRβ鎖の可変域であるVβに対する抗体を使用して、これらのT cell lineのVβについて検索した。ほとんどすべてのT cell lineは、Vβ8かVβ14を使用していた。53E特異的T cell lineだけが、Vβ8かVβ14以外にも多数の他のVβを使用していた。このことから、53番残基はVβに結合するかVβに影響を与えやすいことが判明した。これまでに、抗原ペプチド上の1残基がTCRβ鎖の可変域と結合するという報告はない。従って、我々の抗原系は、新しい三分子複合体モデルを提供すると考えられる。
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