遺伝子近傍の多型性を利用したMVR-PCR法による微量混合斑痕からのアリル分析
Project/Area Number |
06670455
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉木 敬二 名古屋大学, 医学部, 講師 (90217175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 敏充 名古屋大学, 医学部, 助手 (50260592)
打樋 利英子 名古屋大学, 医学部, 助手 (20223571)
勝又 義直 名古屋大学, 医学部, 教授 (30109326)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 法医学 / MVR-PCR / DNAタイピング / 個人識別 / ミニサテライト / MS32 / アリル分析 |
Research Abstract |
DNAフィンガープリント法に始まるミニサテライトDNAを用いた検査法は個人識別などの法医学領域で広く利用されているが、現在のところ個々のミニサテライトの長さの差のみを情報として使用している。ところが、ミニサテライトの内部の変異をマッピングするMVP-PCR法の開発により、さらに多くの情報が得られるようになった。また、ミニサテライト近傍(フランキング領域)の多型性を利用することにより、ゲノムDNAから個人のアリルをタイプできるようになった。我々はこれらの方法を用いて日本人のMS32アリルを数多く調査し、血痕や精液班などの微量な法医資料の分析にも応用し検討した。また、これらの研究結果をもとに、実際の法医資料の分析に応用した。全身に火傷を覆い腐敗も進んだ身元不詳の嬰児が分離された胎盤とともに焼却炉内で発見されたが、この2つの法医資料よりどれだけ個人識別に有用な情報が得られるかを検討した。まず、比較のために従来のDNA検査(SLP、AmpFLP、HLA-DQA1、STR)をおこなったが、HLA検査を除く3つの検査では胎盤だけに存在するアリルを検出されず、嬰児のDNA型のみがタイピングされた。また、HLA検査では3つ以上のアリルの混合が示唆されたが、それぞれ実際のDQA1型を決定できなかった。それに対し、通常のMVR-PCRでは嬰児DNAからは明確なdiploidコードを読み取ることができ、2つのアリルを分離してhaploidコードを読むことも可能であった。また、胎盤組織では3つ以上のアリルが混合していることがわかり、上記3つのフランキング(近傍)領域の多型性をタイピングしたところ、嬰児DNAと胎児DNAで異なっていたため、アリル特異的MVR-PCRにより、胎盤に含まれる微量な母親由来のアリルのタイピングに成功した。これらのアリルをデータベース内にある今までにタイピングされたアリルと比較したところ、ホモロジーの高いアリルは日本人のアリルだけであった。このため、嬰児や母親は日本人である可能性が強く示唆された。このように、混合斑痕などの3つ以上のアリルの混ざった資料からでも、フランキング多型を用いることによりアリルの分離及びマッピングが可能となり、MVR-PCR法は極めて個人識別能の高い検査であることが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
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