心筋梗塞急性期における白血球活性化および接着分子発現機構に関する検討
Project/Area Number |
06670684
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 洋 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (50260394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上出 利光 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (00160185)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 心筋組織レニン・アンジオテンシン系 / 白血球活性化機構 |
Research Abstract |
本年度は、心筋組織および白血球中でもTリンパ球におけるレニン・アンジオテンシン系に着目し、心筋リモデリングとの連関を検討した。中でも、臨床的にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の投与が心筋リモデリング過程を抑制することが明らかとなったが、心筋局所、Tリンパ球での生理的な役割、調節機構については解明されていない。従って、Tリンパ球にアンジオテンシンII受容体、ACE遺伝子が存在するかどうか、さらに心臓局所でのACE遺伝子の調節機序について検討した。まず、マウスから胸腺細胞を分離後チミヂンを加え取り込みを計測すると、アンジオテンシンII依存性に増大し、一部分アンジオテンシン受容体を介して制御されているものと考えられた。また、ヒト末梢血を分画し、T細胞を分離、さらに超遠心法により細胞膜画分を調整、アンジオテンシン変換酵素活性を測定した。そして、RT-PCR法によりACE遺伝子の発現を確認した。心筋リモデリングのモデル動物として高血圧自然発症ラット(SHR)の肥大心を用い、SHRにα遮断薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII(AII)拮抗薬、サイアザイド系利尿薬、血管拡張薬を経口投与し、左室心筋からRNAを抽出、ribonuclease protection assayを行い、ACEmRNAの発現を比較検討した。さらに、左心室細胞膜画分を超遠心法により調製し、ACE活性を測定した。その結果、左心室細胞膜画分のACE活性は、10週齢SHRにおいて有意に上昇したが、各種降圧薬を投与するといずれの群でも有意に抑制された。ACEmRNAレベルの発現は、10週齢SHRにおいて亢進していたが、β遮断薬、ACE阻害薬、利尿薬投与群で発現が抑制され、AII拮抗薬投与群ではむしろ発現が亢進し、他の群では差を認めなかった。以上のことから、胸腺細胞にはアンジオテンシン受容体が存在し、Tリンパ球をはじめとする液性因子と心筋の双方に局所レニン・アンジオテンシン系が存在すること、心筋リモデリングの過程で左室のACEは活性化されることが確認された。各種拮抗薬、各種抗体、antisennseによる接着分子遺伝子発現の制御は現在検討中である。心筋リモデリング機構における液性因子、接着分子発現機序を解明し、その抑制を合理的に行うことは、心筋梗塞巣の縮小、心不全への進展の抑制、生命予後の延長に貢献するものと期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)