抗精神病薬抵抗性の精神分裂病の病態に関与する神経ペプチドの役割
Project/Area Number |
06670956
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
澁谷 治男 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10158959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 明子 東京医科歯科大学, 医学部, 技官 (40210992)
車地 暁生 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00251504)
融 道男 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20013972)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Keywords | 精神分裂病 / フェンサイクリジン / メタンフェタミン / 分裂病モデル / コレシストキニン / コレシストキニンmRNA / ドーパミン仮説 / 興奮性アミノ酸仮説 |
Research Abstract |
精神分裂病の成因機序としてドーパミン過剰仮説、興奮性アミノ酸機能低下仮説が唱えられ、とりわけいわゆる陰性症状を主とする抗精神病薬抵抗性の分裂病ではドーパミン機能異常を越えた脳の器質的な変化の存在が推定されている。本研究ではグルタミン酸受容体のうちNMDA受容体と共役するイオンチャンネルを遮断する、またドーパミン再取り込み輪送機構を阻害する幻覚惹起物質フェンサイクリジン(PCP)を反復投与した動物を分裂病モデルとみなして、CCK免疫活性およびCCKmRNAを測定した。PCP(7.5mg/kg,ip)単回投与したラットの前頭前野皮質、内側前頭皮質、海馬のCCK免疫活性の一過性の減少と海馬、頭頂後頭葉皮質のCCKmRNAの低下を認めた。 しかし PCPを反復投与した7日あるいは14日後には、前内側前頭葉皮質、海馬、頭頂後頭葉皮質でCCK-8免疫活性は有意な増加を、CCK-33免疫活性は多くの脳部位で減少傾向を示し、それは分裂病死後脳所見に類似するものであった。この時CCKmRNAも前頭前野皮質、頭頂後頭葉皮質で有意に増加しており、CCK作動系が機能亢進状態にあることがわかった。他方、幻覚や妄想などの陽性症状を発来させ、分裂病脆弱性モデルとみなされるメタンフェタミン(MAP、0.5mg/kg,ip)の投与実験も行った。MAP単回投与で海馬、頭頂後頭葉皮質のCCKmRNAは一過性に減少した。反復投与してもこれらの部位でCCKmRNAは短時間減少したが持続することはなかった。前頭前野皮質では常に明らかな増域を認めなかった。PCP精神病とMAP精神病の抗精神病薬への反応性や症状を比較考慮すると、陰性症状を主にする治療抵抗性の分裂病においては脳の特定部位のCCK作動系が機能亢進にあること、CCKの過活動が分裂病症状に関与していることが推察される。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)