精神分裂病患者死後脳の左右大脳半球間の神経特異的蛋白及びリン酸化の非対称性
Project/Area Number |
06670962
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西野 直樹 神戸大学, 医学部, 講師 (30218177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白河 治 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40243307)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | fodrin / cytoskeletal protein / Western blotting / glutamate / postmortem brain / schizophrenia |
Research Abstract |
精神分裂病(分裂病)患者の一群で左上側頭回のサイズの減少が認められ、思考形式障害や幻聴の重症度との間に負の相関が成り立つことが報告されている。本研究では、左上側頭回の形態学的異常が何らかの神経機能特異的蛋白の変化に関連する可能性を考え、当該蛋白の検索を行った。分裂病群(S群)及び正常対称群(C群)の死後脳左右上側頭回の膜標品をSDS電気泳動にて分画すると、150kDaに相当するバンドが、S群の左側ではC群の同側及びS群の対側と比較して強く染色された。この蛋白分画を標的として二次元電気泳動を行うと、両群共に等電点の異なる2つの蛋白が分離された。各蛋白のアミノ酸分析の結果、それぞれfodrinαサブユニットのN末端側より後半及び前半部分のアミノ酸配列と一致した。fodinαサブユニットに対する特異抗体を用いてWestern blotを行うと、両群共に240kDa及び150kDaに免疫陽性バンドを認めた。150kDa免疫陽性バンドは、S群の左上側頭回でのみC群と比較して約50%の有意の増加を示した。fodinは、actinなど他の細胞骨格蛋白と結合して細胞形態を保持しているほか、膜内在性機能蛋白の局在や可動性の制御などに関与するとされている。ラット海馬切片および小脳培養細胞でのNMDA受容体刺激はfodrinαサブユニットの分解(240kDaのαサブユニットは、生理的Ca^<2+>濃度存在下にμcalpainにより150kDa及び145kDaのフラグメントに切断される)を亢進することが知られている。以上の結果から、分裂病患者脳左上側頭回ではNMDA受容体を介するグルタミン酸神経伝達の促進からFAの持続的な分解亢進が起こり、fodrinと他の細胞骨格蛋白との会合が外れ、組織サイズの縮小などの形態学的変化を来たすことが推測された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)