日本人糖尿病の成因におけるミトコンドリT異常の役割
Project/Area Number |
06671007
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
内分泌・代謝学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門脇 孝 東京大学, 医学部(病), 助手 (30185889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 保道 東京大学, 医学部(病), 医員
江藤 一弘 東京大学, 医学部(病), 医員
安田 和基 東京大学, 医学部(病), 医員
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 3243変異 / NIDDM / ミトコンドリア異常 / インスリン分泌不全 / 膵細胞 |
Research Abstract |
NIDDMは日本で500万人以上の患者がいる。日本人NIDDMの特徴は、グルコースに対するインスリン分泌の低下であるが、我々は先に、その一部、少なくとも1%がミトコンドリア異常(3243変異)によって起こっていることを見出した。本年度の研究では(1)ミトコンドリア異常による糖尿病の頻度と臨床的特徴、(2)ミトコンドリア異常による糖尿病発症の機序の解析、(3)ミトコンドリア異常による糖尿病患者の膵組織などについて検討を行った。 (1)ミトコンドリア遺伝子異常、特にtRNA-Leu(3243)のA→G変異(3243変異)は、日本人糖尿病の中で比較的頻度の高いことが明らかになった。例えば、病型や家族歴などに全く関わりなくランダムに選択した日本人糖尿病の0.9%(5/550)に3243変異が認められた。その臨床的特徴は、母系遺伝に合致する遺伝形式、感音性難聴、インスリン分泌低下を認めることの多いことである。 (2)グルコース依存性にインスリンを分泌するインスリノーマ細胞株βHC細胞を低濃度のEtBrで処理するとミトコンドリア遺伝子の転写が90%以上低下したが、核遺伝子の転写には影響はなかった。この時、グルコースによる膵β細胞内Ca濃度の上昇やインスリン分泌の促進は消失したが、SU剤によるものは保たれていた。このように、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化は膵β細胞におけるグルコースによるシグナル伝達とインスリン分泌に関与していると考えられる。 (3)3243変異を有する糖尿病患者の剖検膵8例で、組織学的検討を行った。全例で膵組織から3243変異が確認され、ヘテロプラスミ-の程度は40・70%程度であった。また、膵島の数の減少、萎縮、β細胞の数の減少が認められた。 以上のように、3243変異を有する糖尿病では膵β細胞内のシグナル伝達障害とβ細胞massの減少により、インスリン分泌低下が認められる。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)