異常甲状腺ホルモンレセプターの転写活性阻害機構に関する研究
Project/Area Number |
06671018
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
内分泌・代謝学
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 浩淑 浜松医科大学, 医学部, 講師 (60164331)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 甲状腺ホルモン不応症 / 異常甲状腺ホルモンレセプター / ドミナントネガチブ作用 / 転写活性 / 下垂体型不応症 / 全身型不応症 |
Research Abstract |
我々がこれまでに甲状腺ホルモン不応症患者から同定した種々の異常T3レセプター(mTR)のうち、下垂体型不応症を生じたR338Wと、C末端側のアミノ酸がそれぞれ11、13、16個欠失したmTR(F451X,E449X,C446X)の機能を検討し、(1)下垂体型不応症の成立機序、(2)TR異常と臨床像の関連について、次の結果を得た。 1.下垂体型mTR、R338W、の特徴。臨床的にほぼ同程度の不適切TSH分泌を示した全身型不応症患者から得たmTR(K443E)とR338Wを、それぞれ細胞に発現させ機能を比較検討した。T3結合能の低下はR338W、K443Eとも同程度であったが、種々のT3レスポンスエレメント(TRE)を組み込んだレポーター遺伝子を用いて調べた転写活性の障害の程度は、R338WはK443Eより軽微であった。また正常TRの転写活性能を阻害するドミナントネガチブ作用は、R338WはK443Eより有意に弱かった。ゲルシフトアッセイでレセプターのダイマー形成能を調べると、R338Wはホモダイマー形成が著明に低下していた。現在さらに、K443Eと不応性が極めて強いC端欠失mTR,F451X,にR338Wの点突然変異を人工的に導入してその機能の変化を調べているが、T3結合、転写活性はより一層障害されるのに対し、ドミナントネガチブ作用は逆に減弱する成績を得ている。R338Wの示すドミナントネガチブ作用の弱さが、臨床的に下垂体型不応症となる要因の1つであろうと考えられた。 2.三種のC端欠失mTRの検討。いずれもT3結合能、転写活性能は殆ど認められないほど低下していた。ところがドミナントネガチブ作用はF451XのほうがE449X,C446Xより有意に強く、C端側11から13番めのアミノ酸になんらかの重要な機能が存在することをうかがわせた.in vitroで調べたE449XとC446Xの機能は殆ど同一であったが、臨床的にはC446Xの患者が重篤な不応症で精神障害をきたしていたのに対し、E449Xは甲状腺腫のみであった。このことから少なくとも中枢神経症状は、ドミナントネガチブ作用の強さのみに関連して生じるものではない、と結論づけられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)