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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
ラット腎糸球体メサンギウム細胞におけるバゾプレシン(AVP)による細胞内情報伝達系と細胞増殖系の賦活に対するlow density lipoprotein(JDL)の効果を検討した。AVPはV_1受容体に結合後,イノシトールリン脂質の代謝を促進して細胞内遊離カルシウム(〔Ca^<2+>〕i)を動員させる。さらに,AVPは細胞内ナトリウム(〔Na^+〕i)濃度を用量依存性に増加させる。これに伴って,細胞内pHを初期酸性化後,持続相のアルカリ化を惹起する。細胞をLDLとともに0.1μg/ml以上の濃度で3時間以上前処置すると,AVPによる〔Ca^<2+>〕i動員,〔Na^+〕i動員および細胞のアルカリ化が有意に増強された。またAVPは,細胞のmitogen-activated protein(MAP)キナーゼ活性およびDNA合成系の指標となる^3Hサイミジン摂取を用量依存性に増加した。この細胞増殖系に対するAVPの作用もV_1受容体を介して発現された。また,プロテインキナーゼCを賦活するphorbol-12-myristate-13-acetate(PMA)も強力なMAPキナーゼ活性化を持つ。細胞を10μg/mlLDLで24時間前処置すると,AVPによるMAPキナーゼ活性化,^3Hサイミジン摂取はいずれも増強されたが,PMAの効果には変化がなかった。LDLは,AVPの受容体結合に影響せず,イノシトール3リン酸産生を有意に増強させた。したがって,LDLの作用点はG蛋白又はフォスフォリパーゼC活性化にあり,AVPの細胞内情報伝達系を促進することが明らかとなった。同様の成績は,エンドセリンやアンジオテンシンIIでも認められた。以上のように,本年度の研究計画に沿って糸球体メサンギウム細胞におけるAVPの作用発現に関する研究を進めた。さらに,HMG Co A reductase阻害剤シンバスタチンのAVP作用発現に対する効果の研究を続行している。
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