Project/Area Number |
06671115
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hematology
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
壇 和夫 日本医科大学, 医学部, 助教授 (90142538)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / 骨髄造血前駆細胞 / 分子生物学 |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群(MDS)は種々の治療に不応の難治性疾患であり高齢者に多く発症することから今後も益々重要な疾患群として捉える必要があるが、その病因に関しては未だ明らかではない。しかしその本態には多能性造血前駆細胞の異常が共通して存在すると考えられており、この解明のために生物学的、遺伝子学的解析方法を駆使して多方面より総合的に検討を行った。 生物学的解析方法としては、骨髄造血前駆細胞コロニー形成法を用い、巨核球系、顆粒球系、赤芽球系の骨髄三系統を同時に検索することによりどのレベルの細胞に異常が出現しているかを解析した。MDS患者の63%は骨髄三系統の異常が同時に認められ、また巨核球系造血前駆細胞のコロニー数は赤芽球系および顆粒球系造血前駆細胞数と有意の相関を認めた。これらの知見はMDS患者の造血は多能性幹細胞のレベルで数的あるいは質的異常が起こっていることを示している。また、リンパ球系統の異常についてはNK活性、LAK活性の検討および可溶性IL-2受容体(sIL-2R)の検討を行った。高リスクMDSではLAK活性の低下、NK細胞の減少を認め、血漿sIL-2R値も高リスクMDSでは有意の高値を認めた。 遺伝子学的および分子生物学的解析方法としてはN-ras癌遺伝子の異常に関する解析、DOC癌抑制遺伝子の異常に関する解析を行い、MDSの40.9%にN-ras癌遺伝子の活性化を認めMDSからの白血化との間に有意の相関を認めた。DOC癌抑制遺伝子に関してはmRNAレベルの発現低下が白血化と強い関連を示し、蛋白レベルの発現はMDS全例で著しい低下を認めた。これらの知見はMDSの発症機序および白血化のメカニズムを考える上で極めて興味深い。 今回得られた以上の成績はMDSの病因・病態を解明する上で極めて有益であると考えられた。
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