Research Abstract |
家兎脛腓骨を外固定する固定具を設計製作した。家兎を上半身下半身ともに伏臥位にして,固定用ハンモックに固定し,両脛腓骨に固定器具を装着した。我々が過去に開発した骨きり法(切開せずに糸ノコの微小振動できる方法,文部省科学研究費一般研究C (62570693)にて開発)で骨きりを行った。固定具のあそびを調節することによって,せん断量を0.05から0.25まで5段階に変化させ,それぞれ別々の家兎に1日2時間あたえた。なお,反対側は比較対照のため,同様の固定処置だけ行い,せん断をあたえなかった。治癒期間中,力センサからの出力,および変位計からのひずみ量をコンピュータに記録し,仮骨の変性程度を求めた。また力学的な測定結果とともに,1週に1度行ったレントゲン撮影の結果を用いて,仮骨部分の変性程度を定量した。8週の後家兎を屠殺し,HE,サフラニンO等を用いた組織学的検討,および可動域測定,摩擦測定などの生体力学的検討を行った。せん断ひずみの,仮骨形成,分化にあたえる影響を調べた。その結果,ひずみが0.1よりも大きくなると,骨折部分の剛性が上昇せず,治癒しなくなることが分かった。このことは,治癒期間中に撮影したレントゲンの結果,また屠殺後の組織学的検討結果からも確認された。ただし,この程度の小さなひずみをあたえたときは,骨の固定部分の緩みが結果に影響することが考察された。ひずみが0.1から0.20の間では,仮骨の量が増加し,骨幹中心部の仮骨が線維性の富む組織になることが組織学的検討によって分かった。ひずみが0.20よりも大きくなると,仮骨の量がさらに増加し,骨幹中心部の仮骨が線維性の富む軟骨状の組織になることが組織学的検討によって分かった。これらの結果は,骨折治療に対し重要な結果であると考えられた。
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